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第16話

郁side 「ごめんなさい。バイブのリモコンを取られてしまって。」 そう言って部屋に入って来たのは暁だった。 片手にペットボトルとタオルを持って。 「・・・飲みますか?」 僕は首を横に降った。まず飲める状況じゃない。苦しい。早く気を失いでもしたい。 「・・・君は・・・誰の・・味方?」 さっきから気になっていたことを聞いた。 「ごめんなさい。誰でもないです。彼らには従いたくありません。でも従うしかないんです。できる限り、関わりたくもありません。・・・・・ごめんなさい。本当は・・・あなたを助けたい・・・警察さえ来てくれればこっちの者になるのに・・・・・」 「そんな・・・ことして・・も、君も・・捕まっ・・・ちゃうよ?」 バイブが中で動くからで、うまく喋れない。 「いいんです。自分は最低な人間だから」 「・・・な、んで?」 「・・・・・血、洗いますね。」 聞いた疑問には答えず、ペットボトルの中の水でタオルを濡らして簡単に拭き取ってくれた。 「・・・・・おい、何してんだよ。」 突然声をかけられ暁と郁は心臓が飛び出しそうになった。 「あ、奏芽さん。・・・えっと血が気になって。」 「で?やることは?」 「やりまひた!」 「それ何語?」 「あ、えっと、やりました!」 「ふーん。まぁいいや。見といてね。」 「はい!」 奏芽は何をするでもなく、直ぐに去っていった。 そうすると次に爽と達がやって来た。 「いい感じに仕上がってんな。」 「ほんとだ。」 気持ち悪い笑顔をこちらに向けてくる。 「なに睨んでんの?」 「そんなことしてる余裕があるんだ?」 そういって爽が理不尽に顔や腕、足を蹴りつけてきた。 「いい顔になったな?」 「それなwww」 次は達も加わって同じことを繰り返した。 暁は棒立ちで目を伏せて見ないようにしていた。 少しして二人が立ち去れば、別のタオルをポケットから取り出し水で濡らし顔を冷やしてくれた。 腫れ上がっているであろう顔。 あざがあちこちに出来た気がする。 怖い・・・・・。 早くもう、助けて・・・・・。 誰でもいいから。 殺して。 もう何も考えれなくなっていた。ただ楽になりたいと願った。

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