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第21話
暁side
建物を出て少し先までは走りたい衝動を抑えて早歩きをした。
もう見えないであろう位置まで行ってから一気に加速した。
コンビニが見えて、少しスピードを落とし呼吸を整えた。
コンビニの駐車場で深呼吸をしながら入口へ歩みを進める。
緊張と焦りで手汗と鼓動の早さがすごいことになってる。
コンビニに入るとまずはカゴを手に言われたものと、適当にお菓子や飲み物を買っていく。
店内をゆっくり歩き回り、これからどうやって奏芽達のことを誰に知らせるかを考えていた。
最初に電話の確保から。
この辺りで公衆電話はない。
そうなれば、誰かに貸してもらうしかない。
この店にいるのは店員ぐらい。
人の命がかかっているとでも脅せば何とかなるだろうか・・・
次に電話をかける場所。
学校ならば土曜日だし、留守番電話に接続されるだろう。
警察には・・・勇気がない。
『室井春』に繋がりさえすればいいのに。
方法がない・・・・・
とりあえず明宮高校の電話番号を調べてかけてみよう・・・
よし!
自分がこのあとどうなろうと知らない。
この先の人生なんてどうでもいい。
あいつさえ懲らしめれるなら。
二人の店員がいて、40代ぐらいの優しそうな男性の方に行き、カゴをレジに置くと置くと俺が喋るより先に店員が話し始めた。
「今日は肉まんがいつもより10円安くなっていますがどうですか?」
「えっと、肉まんとピザまんとアメリカンドックを1つずつお願いします。」
「はい、肉まん、ピザまん、アメリカンドックですね。」
復唱して、隣のレジに立っていた若そうな男性に袋に入れるよう促した。
言いづらい・・・・・
けど言うしかない・・・・・
「・・・あのっ!」
「何でしょうか?・・・あ、肉まんに辛子が必要でしたか?」
「えっと、いりません。そうではなくて、連絡手段がないのでケータイか何かを貸して頂けると…後、電話番号を忘れてしまったのでネットで調べたいのですが・・・」
俺の言葉に店員達は困った顔をした。そりゃそうだと思う。突然見ず知らずの他人にケータイを貸して欲しいとか言われたら誰だってそうなる。それに番号が相手にバレてしまう。
これはもう脅すしかないのだろうか。
「・・・要件は?どこへかけたいんっすか?」
先に口を開いたのは若い店員だった。
「明宮高校に・・・・・」
「要件は?それを聞けないとかけることも出来ません。」
焦って口籠もる俺に更に追い打ちをかけるように言てきた。
もう腹をくくるしかない。
「そこの生徒が暴力を振るわれて強姦されそうになってるんです。脅されてるので警察言えないんです!その生徒の恋人に繋がればどうにかしてくれるはずなんです!!」
ボソボソと話し始めたがだんだんと体に力が入って、声が大きくなっていく。
幸い周りに客はいないためよかった。
店員の2人は顔を青くした。
「それってやばいんじゃ!?」
「わかりました。私から電話しましょう。」
「ありがとうございございます!!!」
俺は裏に案内され商品倉庫にいた店長さんにも事情説明をして番号を調べかけてくれた。
店長は冷静に慌てることもなく商品を並べ始めた。
そして若い店員はチラチラとこちらを見つつ、客が来たのでレジへ戻った。
※暁たちの通う学校は飛青高校(ひせい)です。
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