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第30話

暁side 玄関から話し声が聞こえて、室井春さんが来たのだろうと思った。 相変わらず3人は無言だったりボソッと答えたりを繰り返していた。 数分後、1人の警察官と背が高めの少年が入って来た。 その少年を見るや否や、奏芽が口を開いた。 「ざまぁねぇな春。あんな簡単に連れてこれるとは思わなかったよ。郁ってほんとめちゃくちゃバカだよな?ハハハハハハっ!」 奏芽の笑い声と警察官が「やめなさい」と言う声が部屋中に響く。 「あの時といい今回といい…俺たちは何もしてない。なんで郁を狙った?こんなにも酷いことをしなきゃなんないんだ?」 室井春さんは、手に力を込め今にも殴りかかりそうだった。 あの時とはどの時のことなのだろうと疑問に思った。奏芽たちが郁さんに今までに何か仕出かしたのだということは分かった。 「は?別に?刃向かったからイラついてただけ。だから懲らしめようかなーってしただけー。」 「…ふざけんな。」 「はー?」 ボソッと言ったからだろう、奏芽は怒りを誘うかのように言う。 「ふざけんな、奏芽!爽!達!お前らのしたことは許されねぇ!!俺はずっと恨み続ける!今殴らないだけありがたいと思え!!」 「はっ。殴る勇気もないってか?」 そこで口を挟んだのは達だった。 「違う。殴れるなら何発でも殴ってやる。けとここには警察官もいるし先生だっている。俺はお前らみたいに理性を失って人生を踏み外すようなことはしない!」 室井春さんのいうことあっている。奏芽たちは感情のコントロールがうまくいっていない。その証拠に少しのことでキレてしまう短気だ。 言い返そうとした達の言葉は「救急車が来ました!」という声によって阻まれた。 室井春さんはこちらを向いた。 「お前が暁?」 「はい。すみませんでした」 深く深く頭を下げた。 「奏芽たちを止めなかったことは絶対に許さない。けど…電話ありがと」 それだけ言うとこの部屋から出て郁さんのもとへ向かった。

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