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第34話

郁side だんだんと意識が浮上して目をゆっくり開ければ、周りは暖かな色に包まれていた。 「郁!?」 右側からお母さんの声が聞こえる。 「すぐに看護師さん来るからね」 僕のそばにあった何かのボタンを押すと機械から「どうされましたか?」と声が聞こえて来た。 「目が覚めました」とお母さんが返事をして「すぐに伺います」と返答が来た。 ふわふわとした意識の中で身体中の痛みに呻いた。 「うぅ…痛い…」 「大丈夫だよ、郁」 その声が聞こえて来たと同時に部屋に誰かが入って来た。 「冬城さん、体調はどうかなー?」 看護師さんだった。 そして、体温と血圧を測り痛み具合などを聞いて来た。 「とにかく痛いです。」 「そうだよね…あと、何か違和感とかあるかな?」 違和感どころじゃない。ありすぎて僕自身ですらよくわかってない。 「なんで僕はここにいるんですか?」 その言葉にお母さんも看護師さんも驚いた顔をした。 「すぐに医者が来るようにしますね」 そう言って部屋を出ていった。 ぼーっとしていると次に部屋に入って来たのは医者だった。 「冬城さん、体調はどう?」 「微妙です。」 「そうか。あ、僕は笠原といいます。…さて、本題と行こうか。今現在、冬城さんはどこの学校で何年生?」 「…えっと…達川中学1年…です。」 「じゃあ、次の質問。なぜここにいるのかわかる?」 「…わかりません。」 「そうか、わかった。質問に答えてくれてありがとう。最後に心音とかだけ聞かせてね」 「はい。」 その後「よし、大丈夫」と言ったあとお母さんの方を向いて「少しお話ししたいことがありますのでよろしいですか?」と言ってでていった。 お母さんは「春くんが来るからね」といってでていった。 身体を起こしたくても、痛みで気力が失せる。 今の僕は僕ではない違う誰かと入れ替わっているかのような感覚がする。 身体は重くて痛い。 昨日までは生理は来てなかったのになぜか今日はなってる。 看護師さんとお医者さんということはここは病院ということで、僕は病院に来るようなことをした覚えがない。 僕の中学という言葉を聞いた途端のお母さんと笠原先生の様子。 左手には点滴。 右手には包帯が巻かれている。 わけのわからないことばかり。 ぐるぐると頭の中でわからないことが回り続ける。 するとコンコンとドアがノックされ春くんが入って来た。 正確には春くんに似た人、だ。 昨日まで見ていた春くんより背が高くて大人びている。 それになぜか明宮高校の制服を着ている。 少しだけ言葉を交わせば、僕の謎は深まるばかりで、春くんも心配そうにこちらを見ていた。

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