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第41話

春side その後、了さんが面会終了15分前にきた。 少ししてから笠原先生もきた。 「失礼します、冬城さん。」 「あ、先生。」 俺はぺこりと軽く頭を下げた。 「少し前にパニックを起こしたそうですが、原因は本人に聞いて見ないとわかりません。多分パニック障害の1つではないかと考えてはいますが…。」 「そうですか。」 「…明日なんですが、朝食後から診察を受けてもらいます。その時に今日のことを聞きましょう。その後少し検査をしてから、もう一度診察を受けてもらい退院できるかを決めます。」 「はい、わかりました。」 「それでは失礼します」 それだけ言うと先生は去っていった。 陽太さんは看護師さんと話し、簡易ベットを用意してもらい今日はここに泊まらせてもらうらしい。 面会時間が終わるので了さんに寮へ送ってもらうことになった。 陽太さんにあいさつをして、了さんについて行く形で駐車場へ向かう。 車に着くと了さんが「どこでも好きな場所に乗ればいいよ」と言って、助手席に座るのは気が引けたので斜め後ろに座った。 車が動き始めてからは少しの間無言だった。 静かな空間で先に口を開いたのはやはり了さんだった。 「春くんの祖父母はお元気?」 なぜそんな事を聞くのだろうか、と思いながら「はい、元気です」と答えた。 「そうか。ならばさっき陽太が言っていた意味がわかったよ。」 不思議そうな顔をして顔を傾けた俺をミラー越しにちらっと見た。 「パニックを起こした郁を見て青白い顔をしてたって聞いたから」 その言葉で「あぁそういうことか」と声には出さなかったが納得したような顔をした。 「大丈夫。今の郁は確かにいろんな意味で怖いが、この世からいなくなるわけではないよ。……いつになるかわからないが、また学校に通うようになったら郁のこと支えてやってほしい。」 「はい。」 「今日はゆっくり寝なさい。陽太に退院したら春くんにも連絡するよう伝えておくから。」 「すみません。ありがとうございます」 「みんな郁のことが心配なんだ。これくらいのことは容易いよ。……学校に行けれない間はいつでも郁に会いに来てやってくれないか?私が春くんを迎えに行く形でもいいから」 「も、もちろんです!行けない日はLINEも電話もするようにします!……というか、俺がしたいんです」 「そうか。…ありがとう」 「いえ」 そのあとは何も話さず無言のままだった。

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