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第44話

郁side 眼が覚めると辺りはだいぶ明るくなっていた。 でもまだ午前7時はすぎていないぐらいだと思う。時間を確認できるものがないから、正確にはわからない。 「…みなさんおはようございます。起床の時間になりました。朝の検温を行なってください。」 放送?的な感じで軽快な音楽とともに病室内に機械音が聞こえた。 ほんとに、今何時… 「あ、郁。おはよう」 横から聴き慣れた声がしてそちらに顔を向ければお母さんがいた。 「…おはよ」 「体調はどう?気分悪かったりする?」 「ううん。」 「そっか。なら良かった。」 ふと思った。なんで自分はトイレに行かなくてもいいんだろうって。手探りに触ってみると管が入っていた。 あぁ、そういうことか。 「どうかした?」 「え?うんん、何もないよ。」 コンコンとドアがノックされ「おはようございます」と看護師さんが入って来た。 「冬城さん体調はどう?」 「大丈夫です。」 「体の痛みの方はどうかな?」 「まだ痛いですけど、昨日よりはマシです。」 そういえば昨日どうなったのか覚えてない。呼吸が苦しくなってそれ以降を覚えてない。 「血圧と体温を計らせてね。」 「はい。」 「…あ、これ終わったら尿の管も外そうね。」 「…はい。」 これ、抜くってことは見られるってことで、すごい恥ずかしい…。 なんて思っていると、ピピッと体温計が鳴った。 「何度かなー?」 「35.5です」 「朝低いんだね。」 「そう、ですね」 看護師はパソコンにデータを打ち込んでいき、「よしっ!」と言ったそして続けて言う。 「じゃあ、管抜くからちょっと待っててね。」 そうして出て言って何かを持って帰ってきた。 「すぐに終わらすからね。」 「はい……」 親と春以外に見られるのは流石に恥ずかしい。 けどそれもあっという間で…… 「…うん、おっけー!これで1人でトイレに行ってもいいからね。」 「はい。ありがとうございます。」 「いえいえ!今日の予定知ってる?」 うーんと考えてお母さんを見れば「なんとなくは」と言った。 「7時から朝ご飯で8時半に一階に降りてもらって笠原先生の診察を受けてもらいます。そのあと血液検査などをしてもらって、それからもう一度笠原先生のところに行って、検査結果次第で退院となります!…大丈夫?」 「大丈夫です、ありがとうごぞいます。」 「うん、後1時間後くらいに朝ご飯持ってくるね」 「はい」 そして看護師さんは出て行った。 あ、そういえば7時から朝ご飯で、今はそれの1時間前てことは、6時かぁ…お腹すいた…

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