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第47話
郁side
いつの間にかソファに横になって眠っていた。タオルケットがかけられていて、お母さんがしてくれたんだと思う。
ゆっくり体を起こして周りを見渡せば、誰の姿もなかった。
もう一度ゴロンと横になれば、ケータイが通知を告げる明かりがついていた。
LINEを見ればお母さんからで、「出かけてきます。30分くらいしたら帰るね。何かいるものがあったらLINEしてね。」と書いてあった。
時間は10分前だった。
無性に飴とプリンが食べたくて、「飴とプリンが欲しい」って打ったらすぐに既読がついて「了解」と返ってきた。
なんだか中学の時に体調を崩した時みたい。
あの時もプリンがすごく食べたくて病院帰りにコンビニで買ってもらった気がする。
それに学校終わりの春くんが会いにきてくれた。「風邪が移るよ?」って言ったのに7時過ぎまでずっとそばに居てくれた。
まだ、自分が高校生である自覚はない。
けど、中学生でないことは明白。
眠ってしまう前にみたLINEのグループ一覧には『明宮2年!』など知らない名前があった。それに身長が少し高くなっていて、それでも春くんと並べば小さいけど…
早く記憶戻らないかな。
なんで失っちゃったんだろう。
大切な人たちと過ごした大切な時間なはずなのに。
思い出せない自分に苛立つ。
それに春くんからの電話がまちどうしい。
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