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第49話
郁side
春から電話がかかってきて、すでに2時間ほどが経過しようとしている。
「郁、今更だけどご飯とか済ませたのか?」
「うん、お風呂にも入ったし、あとは寝るだけだよ」
「そっか。」
「春、LINEの『ハイマス』っていうグループ名のやつなんだけど、春と真羽以外のもう1人って?」
さっきからすこしだけ気になっていたことを問う。
「あー、俊のこと?」
「すぐる?」
「えっと…真羽の彼氏。俺のハ、郁のイ、真羽のマ、俊のスで『ハイマス』。」
それを聞いて驚きと嬉しさでいっぱいになった。中学ではまだ彼氏がいなかったから「羨ましい」と何度も言われた。真羽にもちゃんと大切な人ができたんだ。
「真羽にかぁ。驚きだけど嬉しいなぁ」
「…真羽からそのことを告白された時もそんなこと言ってたな。」
「そうなの?」
「うん」
「どんな人?」
「デカくて茶色い髪で見た目は怖そうだけど、ほんとはすごく優しいやつ。」
「そうなんだぁ…。会ってみたいな。」
「電話するか?」
「いいの!?」
「まだ8時だし真羽と隣の部屋にいるはず。」
「…そうなんだ」
「怖いか?」
「少し…」
「大丈夫だよ。口調は少し冷たい感じだけど、優しいやつだから」
話す春の方から扉が閉まる音と扉が開く音がした。
「うん。」
「ちょっと待ってな」
そう言うと少し声が遠くなり、誰かと会話していた。
「…もしもし郁?」
「うん?」
「真羽と俊が話したいって」
「うん。」
「大丈夫。真羽なんて中学からそんな変わってないし。俺もここいるから。」
「うん。」
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