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第50話
真羽side
突然春が入ってきて少しびっくりして声をかけようと思ったけど、電話中だった。
「ちょっと待ってな」
と電話相手に向かって言った春は、電話を耳から離した。
「突然ごめん。郁と電話してんだけど、真羽と俊と話したいって。」
「ほんと!?」
「構わない」
「ただ、まだ自分自身高校生だと思ってないから、高校生になった真羽と会ったことがない俊にちょっと怖いって思ってる。」
「そっかぁー。でも大丈夫!」
「少し寂しいな。」
「俊はこれからまた覚えてもらって仲良くなればいいじゃん!ね?」
「そうだな。」
「ん。ならこれスピーカーにするな。」
そう言ってケータイを指差し、スピーカーにした。
「…もしもし郁?」
「うん?」
郁の声が久々に聞けた気がする。
ホッとしたのと嬉しいので自然に笑顔になっていく。
「真羽と俊が話したいって」
「うん。」
郁、すこし緊張した声になってる。
「大丈夫。真羽なんて中学からそんな変わってないし。俺もここいるから。」
「うん。」
「…もしもし?郁?真羽だよ!」
「真羽?」
「うん!体の調子はどう?」
「病院で目が覚めた時ほど痛くはないよ!」
はじめこそ緊張気味だった郁の声はゆっくり緊張がほぐれていった。
「そっかぁ!それ聞いてすこし安心!」
「うん。あ、真羽?」
「なぁに?」
「彼氏できたんだね。」
その言葉に浮かれていた自分が現実に戻される。
「うん。ここにいるよ」
「お、おめでと?」
「ありがと、郁」
そう、今の郁は中学生…。
そう思うと胸が苦しくなった。
「えっと……俊くん?」
「俊でいい、よ?」
俊はいつもの喋り方では怖がらせてしまうと思ったのか不慣れだけど、すこし優しい感じの声色に変え話し始めた。
「俊…俊とは…えっと………友達なんだよね?」
「あぁ、そうだよ」
「ごめんなさい」
「なぜ謝る?」
「あ、えっと……忘れちゃったから」
恐る恐る言う郁に今すぐそばに行って抱きしめたくなった。
「そんなことは気にしなくてもいいから。これからまた仲良くしてくれるか?」
「うん!!僕の方こそ仲良くしてください!」
「改めて波輝俊だ。よろしくな?郁。」
「よろしくお願いします!!」
俊と郁が打ち解けたところで4人で話すなら1つのケータイで3人はキツイ、と言うことになり一度電話を切って、『ハイマス』でグループ電話を再開した。
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