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第66話

郁side 食べ終わると昨日の夜に置きっ放しだったケータイを見た。 春からの通知が来ていた。 「おはよう^_^ 昨日は寝れた?心配…。今から学校いってきます。」 春… 早く会いたい。 そう思いながら返事を打つ。 8時半…ってことはもう授業は始まってるんじゃないかな?って早いかな? 多分、返事は遅くなるんだろうな… 寂しいなぁと思いながら、今日は春に会えるというワクワクが止まらない。 「おはよう(^^) 寝れたよ!心配かけてごめんねm(._.)m 学校頑張ってp(^_^)q」 ケータイを閉じて机に戻す。 「郁ー?」 「なに、お母さん?」 「今日の夕食、唐揚げにしようと思うんだけどいい?」 「うん、いいよ」 「わかった。後で買い物に行こうと思うんだけど、一緒に来る?」 聞かれた瞬間、一瞬だけ固まった。 人混みに行くのは嫌だ。 退院した日にそう感じてから、家を出てない。 「郁の好きにすればいいよ?外が嫌なら来なくてもいいし。欲しいものだけ言ってくれれば買って来るし」 「……ううん、行く。」 「うん、わかった。」 そう言ってお母さんは家事をし始めた。 外に行くことがこんなにも怖いことなんて知らなかった。 ずっと家に居たい。でも春や真羽や俊に会って話をしたい。学校だって行きたい。 外へ行くことへの恐怖と覚えてなくて知らないことへの恐怖が同時に押し寄せた。

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