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第69話
春side
1時間目は数学。
黒板を見ながらノートに写して、問題を解く。
それを繰り返しながら、ふと頭に浮かんだあいつらのこと。あいつら…奏芽らは全員少年院送致されたらしい。
思い出しただけでイライラして来た。
ふぅーっと深呼吸をしたが集中力が切れて、不必要な力が入りシャーペンの芯がポキポキと折れていく。
郁が休んでいることをみんなには体調不良としている。
今頃郁はなにをしているだろうか。
イライラとモヤモヤといろんな感情が混ざり合って授業どころではなくなってしまった。
手を止めて何分経っただろうなんて考えた途端にチャイムが鳴った。
「…っ!?」
驚いた。そんなにも考え込んでたつもりはなかったからだ。黒板を見れば先ほど自分が書いていたところの問題は消されて次の問題が書かれていた。ノートがカスカスなのを見て苦笑いした。
号令がかけられ、次の時間を思い出す。
「はーるー!次体育だよー。早く行こー!」
「あ、ごめん。忘れてた。」
「外でサッカーだから靴も取りに行かなきゃ。」
「そうだったー。」
「ぼーっとしてるけど大丈夫か?」
「大丈夫。」
「春こそ、無理するなよ」
俊にそう言われて、その通りだと思った。
「うん、ごめん。」
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