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第77話

郁side 5時半頃に春とお風呂に向かった。 春は脱衣所で躊躇なく服を脱いでいく。 春の体は程よく筋肉が付いていて、背中のラインがすごく好きだと思った。 「どうかした?」 「う、ううん、何もない!」 赤面した顔を隠しつつ慌てて僕も脱いで春に続いてお風呂場に入った。 「郁、座って?」 「…うん?」 イスに座れば春は「洗ってあげる」と言った。 「え、いいよ!?」 「俺がしたいんだよ。嫌?」 「ううん!」 「ならさせて?」 「う、うん。」 「目つむって…お湯かけるよ」 髪を洗ってくれた後、身体も洗ってくれようとしたので「自分で洗えるよ?」といえば「全部やらせて?」と返されたので春のやりたいようにさせた。 「昨日の痛くない?」 そう言われ、そういえば昨日階段から落ちたんだっけ?と思い出した。 「押したら痛いけど、何もしなければ痛くないよ」 「そっか、よかった。……せっかく傷が全部綺麗になりかけてるとこだったのに。」 事故が原因でできた傷がほぼ治りかけてる、と言っても残りはかさぶた程度なのだが、また傷が増えたら意味がないと言いたいのだと思う。 「うん…次からはちゃんと気をつける」 「うん、そうして」 そして僕の全部を洗ってくれた春は「お風呂に浸かってな」と言って自分を洗い始めた。 「僕がしようか?」 「ううん、いいよ。あったまってな」 「うん。」 春はサッと洗って僕を抱えるような体勢で浸かった。 「ふーっ」 「疲れた?」 「ううん。なんか、郁とこうしてられるのが幸せだなーって」 「僕も。春と一緒に入れて嬉しい」 春の方へ振り返りそう言った。 「あー、もー。その笑顔狡い…」 「?」 その意味がわからなくて首を傾けると、春に頭を支えられ、キスをされた。 一瞬何をされたのかがわからなくて、理解した時には春がニヤッと笑った。 僕は顔を真っ赤にして春から顔を背けた。 「そろそろ出る?」 「う、うん。」 それを合図に僕と春はお風呂を出た。

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