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第178話
真羽side
朝起きて、お互いにおはようと挨拶だけ交わす。
春たちと一緒にご飯を食べて、俊だけひと足早く学校へ向かった。
30分ほど遅れて3人で登校。
学校に着いてからも俊ととくに話すとこはなくて、移動教室のない日だから10分休憩もぼーっと自分の席で過ごす。
授業終了のチャイムが鳴って、昼休憩。
俊は後輩に呼ばれて、教室を出ていった。
「…はぁー」
ため息をついて机に顔を伏せる。
昨日、何度も目が覚めたこともあり、寝不足気味。このまま休憩は寝てしまいたいと思っているところに郁の声が聞こえた。
「…真羽、大丈夫?保健室行こ?」
「ほけんしつ?」
のろのろと顔を上げ、聞かれたことをオウム返しする。
「顔色、悪いよ?」
「…そう?」
「青白いっていうか」
郁が困ったように眉を下げる…
「真羽、行くぞ。立てるか?」
郁の後ろからきた春からも言われる。
「…ん、大丈夫、、 あ、、」
1歩目でよろけて郁に腰を支えれる。
「あぶない」
「ごめん。もう大丈夫。」
廊下に出てからも一人で行けるから大丈夫と言ったけど、2人とも首を横に振った。
というわけで、横に郁、後ろから春が着いてくる感じで保健室に到着。
「しつれーしまーす。」
郁が扉をノックして先に入っていく。
「あら、冬城さん。休みにでも来た?」
「違うよ。僕じゃない。」
郁の後ろで見えなかったのだろう。
郁が避けて僕に目を向けた。
「…とりあえず座って、熱はかりましょう。」
15秒程で挟んでいた体温計の音が鳴る。
「37.2か」
「顔色も悪いし、熱が上がる前なのかもしれないわ。寮まで送るから、今日はこのまま帰りなさい。担任の先生には私から伝えるわ。」
「なら真羽の荷物取ってくる」
「ありがとう、お願いね。私も職員室行ってくるから少し待ってて」
「分かりました」
2人が保健室を出ていってから、シーンとなった保健室。
「俊に伝えてくるね」
「まって!言わなくていい。僕からLINEするから大丈夫」
「そう?」
「うん。だから大丈夫」
「分かった」
俊には言わなくていい。この時間を邪魔したら後々、一緒にいる時間が減っちゃう。
少しだけの辛抱と考え今は辛くても歯を食いしばる。
春が先に戻ってきて、その後すぐ先生も戻ってきた。
「先生の車で送るから」
「お願いします」
自分の荷物を持ち上げ、先生へ軽く頭を下げる。
「なんかあったらLINEして。食いたいものとか買って行くから」
「ん、分かった。」
保健室の前で手を振って2人とわかれる。
先生の後ろを着いていくと教員用の駐車場に着いた。
「助手席に乗って」
「…あ、はい」
とりあえず横になって眠りたい。
ぼーっとしてくる頭を何とか起こしている感じだ。
「夜に熱が上がるかもしれないから、寮にある常備薬と熱さまシート1袋、もっていきましょう」
先生の言葉に頷くだけで返す。
車だからあっという間に寮へ着く。
着いてすぐ先生は、各寮にいる寮母さん的な存在に事情を説明してくれて、あまり食欲はないので夕食のことも話を通してくれた。
先程車の中で言っていた2つを持って部屋に上がる。
部屋に入ってすぐベットに倒れ込んだ。
「制服、今のうちに着替えておいた方が後々もっとしんどくなると辛いわよ」
先生の一言にもぞもぞと部屋着へ着替える。
ポイポイと床に投げた制服の残骸を先生はわざわざハンガーにかけてくれる。
「…すみません。ありがとう、ございます」
「いいのよ。しっかり休んで」
「はい」
「ここに薬と熱さまシート置いておくから」
そう言ってベットの上にあるちょっとしたものをおける所に常温の水と一緒に置いてくれた。
「何かあれば誰でもいいから連絡して。話は通しておくから」
「はい。」
「じゃあ、私は学校へ戻るから。」
「ありがとうございました」
「あ、あと!水分補給しっかりすること」
「はい!」
「いい返事。それじゃ」
先生を見送ってベットに横になる。
一気に脱力して眠気と体の重さがやってくる。
とりあえずこのまま眠ってしまおう。
まぶたの重さに逆らうことなく、目を閉じた。
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