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第86話

郁side さっきの悪夢のせいで寝たくなくて、でも春がそばにいると眠ってしまいそうになる。春から離れようかなって思ったけど、それはそれで嫌だった。だから寝ないように努力してたのに、春に気づかれてしまった。 抱き上げられ無言のまま僕はベットまで運ばれた。 春が僕から少し体を離そうとした。 とっさに服の袖を掴んでしまった。 「郁?……どこにもいかないよ。大丈夫。俺も隣で寝るから」 「ほんとに?」 「ほんと」 春は腕枕をしてくれて空いている手で頭を撫でてくれた。 春に抱きしめられながら身体を横にしてしまったら、もう睡魔には勝てない。 「…春」 「ん?怖い?」 「うん…」 「うなされてたら起こしてあげるから」 「約束だよ?」 「うん、約束。だからゆっくり寝な?」 「うん。」 僕はゆっくりと目を閉じ、意識を手放した。

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