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第87話
春side
翌日
昨日の夜に早く寝たからか、いつも起きる時間より早く目を覚ました。
横を見れば郁が身体を丸めて俺に腕枕されながら寝ていた。
腕が痺れているが郁の穏やかな寝顔が可愛いから気にしない。
そっと郁の頬に触れる。
「…ぅう…ん……」
起こしてしまったかと思ったが、まだ寝ていた。
ふと昨日はケータイを全く見ていないことを思い出し、近くに置いてあるカバンまで精一杯手を伸ばし、郁を起こさないようにケータイを探り元の体勢に戻った。
ロック画面を解除して充電がどのくらいか確認すれば、昨日は全く触れていないかったのもあって今日は充電しなくて良さそうだった。
LINEを開けば何件か通知が入っていた。
一番上に真羽、その後に4件連続で公式アカウントから。そして最後……兄貴からだった。
思わず「…珍しっ」と声を漏らした。
とりあえず真羽のを開く。
「月曜日、楽しみにしてるから(*^▽^*)」
多分郁と何をしたのか話せとでもいう意味だと思う。
「えっ。いや」と打った後に「冗談だけど」と付け足して送って置いた。
次に公式アカウントを見ていくと『CD発売』とか『ライブ情報』とか『ブログ更新しました』とかだった。
……ラスト一件。
スタンプで終わっているから内容がわからない。
兄貴のLINEは常にではないがほとんどが真冬関連だ。喧嘩したとか可愛すぎてつらいとか、どうでもいいことばっかり。
今回は開かずに放置してやろうかとも思ったが、稀に重要なことを送ってくるのでそういうわけにもいかず……。
仕方ない…
意を決して開いて見れば……
「真冬が俺に誕プレくれた・:*+.\(( °ω° ))/.:+」
『わーい』ととあるキャラが喜ぶスタンプが添えられている。
イラっとした俺は「あっそ。で?」と返して置いた。
すると即既読がつく。
えっ。なんでこの人この時間に起きてんの。日曜は仕事休みだから延々と寝続けるのに。
「春は俺にハピバの言葉もないのかよ!?つめた〜」
うん、正直言おう。きもい。
「あ、ハピバ。」
「あ、って何。あ、って!!」
「要件それだけ?」
「そうだけど?」
「おやすみ」
「えっ!?まだ寝んの?朝なんだけど。」
「いつもお前は寝てんじゃん!」
「えーなんで知ってんのー。」
それは、真冬が「買い物に行こうと思うんだけど、起こすの悪いかな?」なんてLINEを時々よこすからだよっ!って心の中でツッコミを入れつつ、LINEを閉じた。
この人とはほんとに喧嘩しかしない。
……今日、郁がいいって言ったら少しだけ家帰ってみようかな。
その前にもう一寝入りしよっ。
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