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第182話
春side
俊から言われたもの+αを手に提げ寮の階段を上がる。
郁に歩幅やスピードを合わせつつ、少しゆっくり歩く。
自分たちの部屋をスルーして隣の部屋をノックすると『はいって』と俊からのメッセージがきた。
「真羽、寝てんだろーね」
「そうだね」
ドアを開け、郁を先に入らせる。
そっと中に入れば、眠る真羽に手をつかまれた俊がいた。
「ごめん、ありがと。」
「気にしなくていいよ。こういう時はお互い様」
「ん。」
「…しんどそうだね」
真羽をみて郁が顔をゆがめた。
「うん。…俺がちゃんと話してもっと様子見てればよかった」
「そうは言っても、間違うことは誰でもある。けど次は…」
「あぁ。分かってる」
「なんかあったら連絡して。冷蔵庫にだいたい入れといたから。俊、夕食は?」
「ごめん、いらない。」
「だと思ったから、パンとかも買ってきた。食堂には言っとく。」
「お願い。」
「ん。」
軽く返事だけして、郁を連れ自分たちの部屋へ戻る。
「大丈夫。真羽は真羽なりに考えてたんだろうし。」
「…うん」
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