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第183話
郁side
いつものように課題を2人で進めていく。
けど春は応用問題もスイスイと解いていくし、課題が終われば自分で買った参考書をやってる。
僕なんかのレベルでは何がなにやら分からない内容だ。
「…郁、手止まってるけど何か分からないとこであった?」
「あ、いや、なんでもない。大丈夫」
「そう?なんかあったら言って」
「うん。」
返事だけをして手元に目線を戻す。
真羽の姿を見て、自分まで不安になっているのは何故なのかよく分からなかった。春とすれ違っているわけでもなければ、ずっと隣にいるのに。
ため息が漏れそうになるのをぐっと堪えた時、机に影ができた。
「何悩んでんの」
春が後ろから僕を抱き込むように手元の課題に目をやる。
「だいじょーぶ」
「じゃないよな?…とりあえず、それ置いといて話しようか」
春から促されて机の前を離れ、ベッドへ腰掛ける。
その間、手を握ったままでいてくれてすごく安心する。
春の方に寄りかかると、くすっと春が微笑んだ。
「…落ち着いたらでいいよ。言葉になんないならそのままの気持ち教えて」
気持ちの整理ができるまで何も言うことなくじっと待ってくれた。
「……真羽をみてたら、何でかわかんないけどしんどくなって、、春はずっと隣にいてくれてるのに不安になった」
「…うん」
「こーしてたらね、安心する…ね、ぎゅーってしてもいい?」
「ん、いいよ。おいで」
名残惜しい気持ちになりながらも手を離し、春の膝へ乗っかって1番落ち着く姿勢になった。
春が背中をさすってくれて、無意識に早くなっていた呼吸が整っていく。
「不安な時はいつでも言って。面倒とか思わないから。」
「うん、ありがとう」
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