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第184話
真羽side
ふわふわする意識の中、熱さで目が覚める。
「…あつ」
掛け布団から顔を出して、ぼやけた視界に瞬きを繰り返す。
ドアの開閉音がきこえ、そちらに目を向ける。
「あ、起きた?」
トイレにでも行っていたのだろう俊がいて、不安が和らいだ。
「ぼーっとしてる。なにか飲むか?」
今何時なのか、なぜ俊がいるのか、回らない頭を動かすのは諦めて頷いた。
「常温と冷たいのどっち?」
「…つめたいの」
「ん、こっちな。起きれる?」
「うん」
ゆっくりと体を起こすと、俊が冷たいスポーツドリンクを渡してきた。
「…飲まないの?」
手元を見たまま動かない僕に声をかけてきた。
ぐちゃぐちゃになった感情ともやもや、しんどさ。
今この状況でぜんぜん整理できない。
「…のむ」
ひと口含めば、僕はそうとう喉が乾いていたのだと気がつく。
3分の1程を一気に飲み、フタをすると俊がペットボトルを受け取って机に置いてくれた。
「食欲は?」
「いまはいい」
「アイスとか食べやすいものあるから、また言って」
「うん」
返事だけして、もぞもぞと布団に戻る。
俊の手が頭にのびてきて、おでこに触れる。
「まだ熱いな」
僕より低い俊の体温が心地いい。
擦り寄っていけば、クスッと笑う声が聞こえた。
「…することあるんじゃないの?」
「ないよ。今日はもう終わりだし、生徒会はとりあえず他に任せたからもう行かない」
「…迷惑、かけてごめんなさい」
震える声を何とか抑えて、謝った。
「真羽が泣くようなことしたのは俺だし、今回ちゃんと気づかなかったのも俺の責任。だから、真羽は謝らないで」
瞬きをしたら、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。
「真羽、ちょっと寄って」
ベットに俊が入るスペースを作ると、そこに俊が横になった。
そしてぎゅっと抱きしめてくれて、さらに涙があふれた。
俊の腕の中、暖かい。大好きな俊がここにいる。
僕の中でとてつもなく大きな存在になっていたのだと改めて気付かされた。
「真羽。そのままでいいから聞いて?」
返事の代わりに、ぎゅうっと俊に抱きつく。
「ここ最近、忙しくてあんまり話す余裕も無くなっててごめん。真羽が寂しい思いしてるのにも気づいてたのに、あと少しで終わるからって真羽のこと先回しにしてた。春からも言われてたのにな…。これからは受験もあるけど真羽との時間はちゃんと作るから。こんな俺でも許してくれる?」
「…うん。僕こそ、ちゃんと言わなくてごめんなさい」
「治ったら、真羽がしたかった事しよう?」
「いいの?」
「あぁ。今回は真羽に無理させちゃったから」
「…かんがえとく」
「うん。」
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