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第185話

俊side 数日後。 体調が戻った真羽の要望を聞いて学校の休みを利用し、朝から図書館に来ていた。 たまに俺の本を読む程度の真羽は、図書館に行く機会は少ない。 「勉強を教えて欲しい」「おすすめの本の知りたい」「俊と一緒にいたい」「一緒にお出かけしたい」 そう言った真羽に、そんなのでいいのか?と聞き返したら、いいでしょ!と押し切られた。 真羽が良ければそれで問題は無いのだが、寮でもできるし、他のが良かったのでは?と疑問に思ったのは黙っておく。 足音や本のページをめくる音、絵本の読み聞かせ、子供たちの静かな笑い声。 図書館の隅に席を取り、向かい合って座り、互いに勉強を始める。 時折目線を真羽の方へ向けつつ、問題集を解いていく。 「…ね、ね。」 机をトントンっと指で鳴らす。 「ん?」 手元から顔をあげれば、本をこちらに向けて「ここなんだけど」と聞いてくる。 2時間半ほどそうして過ごせば、だんだん集中力が切れてくる。もうすぐお昼時だ。 「…真羽。お昼どうする?」 「もうそんな時間かぁー。」 「貸りる本見つけて、どっか食べに行こうか」 「うん、そうする」 朝イチに1度ぐるっと一周して読みたい本の目星はつけていたので、その本の中から5冊ほど選んでいく。 「…んー、こっちとこっちなんだけど…どっちがいい?」 昔から教科書に乗っている作者の別の作品と最近賞を取ったファンタジー系の本 「真羽ならこっちじゃない?読みやすいと思うよ」 後者を指さす。 「ん、じゃあこっちはまた今度にする」 貸出カウンターで貸りた本をそれぞれ少し大きめのカバンに入れていく。 少し重たくなったカバンを肩にかけ直し、真羽と外へ出る。 「さて、どこ行く?」 「あそこは?」 真羽が有名なファーストフード店を指さす。 「ん、いいね。そうしよう」 歩き出すと真羽が隣に来て腕をぎゅっとつかむ。 「手、つなぐ?」 「うん!」 昼だというのにそのファーストフード店はそこまで混むことなく程よく人が入っていた。 ここに来る時はいつもポテトとナゲットを半々に分けて食べる。 「久しぶりに来るなぁー。安定の美味しさ!」 真羽に返事をしつつ、ハンバーガーにかぶりつく。 食べま終わる頃には周りの混み具合はMAXになっていて、早々に退出する。 「どうする?このあと。」 「んー、ゆっくり帰る!」 「いいの?」 「うん。こうやって俊とゆっくりできるの、好きだから」 手を繋いで帰路に着く。 いつもよりゆっくり歩く真羽に歩幅をあわせ、たわいのない話をする。 いつになくのんびり過ごす週末。 こういう日もいいなぁと頭の片隅で思った。

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