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第96話
郁side
春の家族はみんな好き。
明るくて優しくて、本当の家族みたいに僕と接してくれる。
春のお父さんの明宏さんは、面白くっていつも笑わせてくれる。
春のお母さんの司季さんは、ポジティブでいつも元気をもらえる。
律夏さんは、春に対して口は悪いけど心はすごく優しい人。
真冬くんは、ほんわかしててすごく癒される存在。
そういえば春の家族は怖くなかった。
春の家族だからかな?
春が真冬くんと僕を二階に行かせたのは、僕のことを話すためだと気づいていた。
無理に思い出させないため。
春は優しい。
その優しさに甘え過ぎてる自分に苛立ちを覚える。
「郁さん?」
「あ、うん。ごめん。何?」
「何して待ってます?ゲームしますか?」
「何でもいいよ?真冬くんにお任せします」
「じゃあ……トランプしましょ!」
「うん!」
2人でババ抜きは面白くないので神経衰弱を始めた。
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