97 / 201

第97話

春side 起こったこと全てを話した。 兄貴は驚きで目を見開いたまま固まって、親父と母さんは何ともいえない表情をしていた。 「…郁くん、今は大丈夫なの?」 「…もとから溜め込むタイプだったけど、今は特にひどいかな。それに多分だけど1人で外に出るのは無理だと思う。さっきもここに来るまでずっと震えてたし。後、1人だと長時間寝れない。まだ今は記憶がない分マシなんだと思うけど。もし記憶が戻ったらって考えたら…あいつ……何するかわからない。」 「…そう」 「……春は、これからどうするか考えてるのか?」 「俺は郁を支えていきたいと思ってる。どんなことがあっても。それに、…郁以外に好きな人ができると思わないし。」 「お前がそう決めたのならそうすればいいよ。」 「親父…」 「ただし、中途半端なことはするな。郁くんを見捨てるようなことは絶対にな。」 「分かってる。」 「何かあったら、いつでも頼って。」 「ありがと、母さん。」 「…頑張れよ」 ボソッと俺の目を見ずに言った兄貴。 「ん。ありがと。」 「……よしっ!せっかくだからお昼食べていきなさい。」 「ん、ありがと。」 LINEで陽太さんに「お昼を食べてから帰ります」と打ったらすぐに既読がつく。 「了解!ゆっくりしておいで。」と返ってきて「はい」と打ち心の中で感謝の言葉を言った。

ともだちにシェアしよう!