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第97話
春side
起こったこと全てを話した。
兄貴は驚きで目を見開いたまま固まって、親父と母さんは何ともいえない表情をしていた。
「…郁くん、今は大丈夫なの?」
「…もとから溜め込むタイプだったけど、今は特にひどいかな。それに多分だけど1人で外に出るのは無理だと思う。さっきもここに来るまでずっと震えてたし。後、1人だと長時間寝れない。まだ今は記憶がない分マシなんだと思うけど。もし記憶が戻ったらって考えたら…あいつ……何するかわからない。」
「…そう」
「……春は、これからどうするか考えてるのか?」
「俺は郁を支えていきたいと思ってる。どんなことがあっても。それに、…郁以外に好きな人ができると思わないし。」
「お前がそう決めたのならそうすればいいよ。」
「親父…」
「ただし、中途半端なことはするな。郁くんを見捨てるようなことは絶対にな。」
「分かってる。」
「何かあったら、いつでも頼って。」
「ありがと、母さん。」
「…頑張れよ」
ボソッと俺の目を見ずに言った兄貴。
「ん。ありがと。」
「……よしっ!せっかくだからお昼食べていきなさい。」
「ん、ありがと。」
LINEで陽太さんに「お昼を食べてから帰ります」と打ったらすぐに既読がつく。
「了解!ゆっくりしておいで。」と返ってきて「はい」と打ち心の中で感謝の言葉を言った。
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