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第102話
郁side
ここは……?
……どこか暗い場所にいて必死にドアを叩いてる誰かがいる。
君は……僕?
なんでそんなに必死にドアを叩くの?
手には血が滲んで痛そう。
だけど全然痛くない。
「……た……っ!!」
なにか叫んでるけど聞こえない。
どんどんそこから遠のいていく。
待って!
なんで僕はそこにいるの?
なんでドアを必死に叩いてるの?
なんで1人なの?
なんで泣いてるの?
何を叫んでるの?
ハッと目を開けた時には、僕は自分の部屋にいた。
さっきの君は僕なの?
状況整理ができてない。
夢はいつも忘れるけど、今回は鮮明に覚えてる。
眠る前と同じように春が手を握っていてくれて、その手にギュッと力を込めた。
「…ん?…郁?」
「……はる、怖い」
そう言えば春は僕を抱きしめてくれた。
「怖い夢でも見た?」
「……変な…夢、見た」
「… 変?……大丈夫だよ」
春の鼓動を聞いているうちに焦っていた自分が落ち着いていく。
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