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第113話
春side
あんなことがあってから、土日は郁の家にお世話になって1か月経った頃。
陽太さんからLINEがきた。
「春くん、郁のことで話したいことがあるんだけど…。時間取れないかな?10分で終わるから」
既読をつけてすぐテレビ電話をかけた。
スリーコールで陽太さんは出た。
「…もしもし?」
「もしもし春くん?…突然ごめんね」
「いえ、全然かまいません」
「それで、要件っていうのがね、郁に元のようにとはいかないけど、寮生活させようと思うの」
「学校はどうするんですか?」
「それについては郁の体調次第かな?…夕方に郁を学校まで連れて行って、朝、みんなが登校する時間に僕が迎えに行って昼間は家で過ごすっていう感じがいいかなっと思ってるんだけど。」
「要するに俺が寮にいる間、郁も寮で過ごすってことですね?」
「うんそうなるね。」
「郁が言い始めたんですか?」
「んー、そうだけど、そうじゃない。」
「?」
首を傾げれば、陽太さんが少し困ったような顔をした。
「郁がね、限界かなーって。…春くんといる時はしっかり寝れるし、笑えるし、外にも少しずつだけど出れるようになってきた。でもね、全部春くんだからなの。僕達じゃ出来ることに限りがある。春くんに負担がかかるのは十分に承知してるし、できる限りはそうしたくないんだ……ごめんね。」
「陽太さん、俺に誤ったりしないで。俺は一生かけて郁を幸せにするって誓ってるから。」
「そ、っか。…ありがとう」
「好きで一緒にいるんで」
「うん」
陽太さんはさっきまでの暗い顔は想像がつかないほど明るく優しい笑顔を見せた。
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