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第115話

郁side 夕食を食べ終えたあと、お互いにお風呂に入る。 先に入らせてもらったから今は春がお風呂に入ってる。 ベッドに背を預け、体操座りをして膝に顔を埋める。 寂しい…離れたくない…たった少しの時間なのに…。 弱って、人に頼ってばかりで、情緒不安定で。 足を引っ張ってばかり…。 最近こんなことばっかり考える。 いつも見覚えのある本屋に行く夢を見る。 声をかけられて、その後の肝心なところでいつも目が覚める。 あの本屋さんに行けば何かわかるのかな? 「いーく?」 「…ヒッ……ぁ、春…」 突然声をかけられてビックリして見上げれば春だった。 「ごめん、ビックリした?」 そう言って春は僕を優しく包み込むようにぎゅっとしてくれた。 「ほら、落ち着いて…ゆっくり呼吸して。」 春に言われるまで気づかなかった。 僕はなぜか荒い呼吸で泣いていた。 「ん、落ち着いてきてる。…もう少しゆっくり深呼吸してみて?」 春は僕を横向きで膝の上に乗せ、背中をさすってくれる。 「…俺の目見て?」 いつの間にか閉じていた瞳をゆっくり開ければ、春が微笑んだ。 「…は、る」 「落ち着いた?」 「…うん」 「よかった。」 「……ごめん、ね」 「謝んなくていいよ」 春に力いっぱいぎゅっと抱きついた。 「どうした?」 「ううん」 「そ?」 春の体温が気持ちよくて眠気を誘う。 ベッドで寝た方がいいかと思って動こうとすれば「このま寝ていいよ」と春が言ってくれた。 またひとつ、春に甘える。

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