116 / 201

第116話

春side 寝ていいと言ったら安心したのかあっという間に、腕の中ですぅすぅと寝息を立て始めた。 「…顔色、良くなってる…」 ぼそっと呟く。 時々こうしてベットではなく俺の腕の中で丸くなって寝る。後でちゃんとベットに移してあげるから、体にはそんなに負担になっていないと思う。 前に比べれば、不安定な精神状態も落ち着いてきたし、笑顔も増えたし、過換気症候群やパニックの症状も無くなってきている。 けどまだ、さっきみたいに少しの焦りとかで軽く症状が出てしまったりもする。 寮生活だからこそ、外からの音にびっくりしたり、恐怖を感じたり、ほんの些細なことが不安やストレスとして感じ取ってしまってる。 正直、寮生活を始めてから郁に更にストレスを与えているのではないか不安だったけど、担当医曰く『最も信頼出来る親しい人物がそばに居るだけで症状の軽減になる』との事だった。 今の俺が郁のために出来ることは、そばにいて安心させてあげること。 後、勉強を教えてあげること。 これに関しては、記憶が無い前から苦手だった所と同じで少し笑える。 郁には秘密だけど。

ともだちにシェアしよう!