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第190話

春side 夏休みを目の前にして、郁がアルバイトを始めた。 近くにオープンしたカフェの店員だった。 この辺りにしては時給も良くて、若い夫婦が作ったカフェ。 少し前に「僕もちゃんとアルバイトしたい」と言ってきたのがきっかけだった。 今までの短期バイトも二人で決めてきたから、今回も俺に相談してきたんだと思う。 せっかく相談しくれたのだ。 いっその事、同じ場所でアルバイトするのもいいかもしれない。 「もし郁が良ければ、一緒にしたい」 「うん!」 そうと決まれば、すぐに電話をして面接を受けた。 その場でOKをもらい、オープン3日前から働くことになった。 カフェと言っても軽い軽食も提供もしている。 サンドイッチやパンケーキ、パフェなどだ。 オープンまでの間に一通りの作業を行い、メニューを覚えたり、軽食の仕込み作業をしたり、掃除をしたり、ある程度の配置はものを覚えた。 カフェがオープンしてからの客入りは上々で、ランチタイムになると特に忙しくなるが、郁と働けることが何よりも嬉しい。 進学後忙しくしている俊や真羽たちも時々来てくれた。 アルバイトがこんなにも楽しみになる日が来るとは思ってもみなかった。

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