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第193話
春side
高校を卒業してそろそろ2年。
3月9日、郁は専門学校を卒業した。
俺より一足先に社会人だ。
2年というのはあっという間で、その間に郁は強くなった。いくつもの検定を取得して、就活なんてすぐ終わった気がする。専門学校進学後すぐの頃から「ここいいなぁ」と言っていた会社に就職が決まったのだ。
4月に入ってすぐ、本社での研修を1週間したあとに配属先へ行くそうだ。
配属先は事前に知らされており、自宅から自転車で10分程のところだ。
スーツを身にまとい「行ってきます!」と言う郁を見送る。なんとなく学生と社会人の差を感じる。
研修期間の間にはスーツで、配属先の方で働く時は私服で行くと言っていた。
少しだけ焦る。
俺はまだ2年あるし、そんな必要は無いけれど、先を行く郁の姿はかっこいい。
好きなことを仕事にできるっていいなぁとすごく思った。
まだ2年、されど2年。
その間に何かしたい。
「そうだなぁ、何か実用的な検定でも取るか。」
誰かに聞いて欲しい訳では無い、ただのひとりごと。
最近少しだけ増えていた。
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