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第123話

郁side ”話をしよう” その言葉の後から心臓のドキドキが早くなっていく一方。 突然しんどくなって、その後目が覚めたら、自分でも驚くくらい落ち着いていた。 何故だかさっきまで本当かどうか不安に感じていたことを事実だと理解している自分が居て、すごい違和感を感じる。 何を聞かれて、何を言われるのか、なんとなく分かる。 春に隠し事はできない。 そう分かっているのに、嘘をつこうとしている自分がいる。 あの日のことが全て分かったわけじゃない。 ただ一つ、ハッキリと言えるのは… 僕はあの日、春以外の人に犯された。 高校に入ってからの記憶は、今までデジャヴのように感じていた光景を繋ぎ合わせたら、何となく思い出せるような気がした。 でもぽっかりと空いたあの日の記憶だけふわふわと浮かんでいるよう。 僕はあの日何をしていたのか。 まだ謎は多いけど、記憶を思い出しつつある僕は嘘をつくと決めた。 もしあの日のことを春に知られたら、春はきっと僕を嫌いになる。もしくはあの日のことを知っていて僕と居るなら、僕は自分のことが許せなくて春と離れる。 そんなことを考えていれば、手元の食器を落としそうになった。ぼーっと考えながらしていた分、いつもと同じ量の洗う物なのにより時間がかかっていた。

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