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第130話

真羽side 後ろの席から春の低い声が聞こえた。 春は誰にでも優しい。 でも、赤井さんに見せたあの冷たさは、郁のあの事件の時ともう1人しかしらない…… そんなことを考えていれば、チャイムが鳴って先生に名前を呼ばれる。 寮の案内役を僕と俊を指名した先生。 ため息しか出ない。 春が苦手なタイプは、僕も苦手な場合が9割以上。 憂鬱になりながら、返事をする。 本当に勘弁して欲しい。 案の定、カンは当たった。 赤井さんのことあまり好きじゃない。 話し方と態度、なにか気に食わない。 だからクラスメイトとして適当に接する。 ホームルームの後、赤井さんと話しているからか春は僕と俊のそばに来ようともしない。他の人と話しているものの顔は不機嫌な感じ。でも多分春の不機嫌さに周りはあんまり気づいてないと思う。 春は郁と同じで隠すのが上手いから。 と言っても、仲が良くて近くにいればだんだんとそれにも気づいてくる。 お昼。 僕と俊は赤井さんと共に過ごした。 春は先生から許可を得て一度寮に戻るらしい。 たまたまトイレに行ってすれ違った時に教えてくれた。 春と赤井さんはこれからも多分こういう感じで冷たい関係のまま終わるんだろうなぁ。 春と俊と一緒にワイワイ話したいのに、今日はつまらない。 この人のせいで…… 嫌だと思う時こそ時間がゆっくり進む気がする。 ぼーっと適当な返事を返しながらノートを取ったりして、午後の授業も終わっていく。 何も考えず、「面倒」「嫌だ」と思っているうちに放課後。 なんでこんな人のために僕が動かなければならないのか。 不思議で仕方ない。 早く郁も含めて、4人で楽しくわちゃわちゃ話がしたい。

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