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第131話

郁side いつもならみんなが帰ってくるより早く寮に来て、部屋で待ってる。 けど、今日は来るのが少し遅くなってしまい続々と生徒が寮に戻ってきていた。 だから1人で部屋に上がるのが怖くなって、お母さんに我が儘を言って一緒に春を待ってもらうことにした。 少しすれば、春たちの姿が見えてきて、声をかけようとして………やめた。 今、何故か不機嫌そうな春と真羽と俊は知らない誰かと笑ってる。 その光景に焦りと不安が込み上げてくる。 クラスメイト全員の顔と名前は、春が写真とか名簿で教えてくれた。それに春の仲のいい人も先に教えてくれた。 僕が過呼吸にならないために。 ねぇ、春。 その隣の人は誰? ごめん。重たいよね。僕なんかより可愛いくて小柄。 急に涙が止まらなくなって、このままだと駄目だって分かってたのに動けなくなっていた。心臓がドクドクと早く脈打ち、呼吸も荒くなっていく。身体中が痺れたような感覚で動かなくなる。 「…大丈夫、大丈夫。郁?聞こえる?大丈夫だから。しっかり空気を吐き出すんだよ。吸うのは勝手にやってくれるから。吐き出すことを意識してね。」 お母さんが少し大きめの声でいってくれる。 分かってるのに、できないのはなんで。 「…春くん!!」 お母さんが春の名前を呼ぶ。 走ってくる足音。 でも今は何も考えれない。 頭の中まで痺れているよう… 泣きながら謝り続けた。 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」と。 僕がいなくなればみんな幸せだから。 辛い思いも、苦しい心も、しんどいことも、全部なくなるから。 心が痛くなることもないから。 僕が居なくなれば。 僕さえ、死んでしまえばいい。 そうすればみんな幸せだ。 過呼吸になればネガティブになってしまう。 何も考えれず、ただひたすらに「自分なんていらない」と考えてしまう。 でも誰かに助けて欲しい。 助けて…春。

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