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第132話
春side
「春くん!!」
聞き覚えのある声が聞こえて、その方向を見れば陽太さんと苦しそうな郁の姿。
周りも足は止めずそちらを見る。
俺は何も気にしないで郁のもとへ走った。
あとから聞いた話だが真羽が俺の名を呼んでいたことすら気づかなかった。
「陽太さん…郁、どうしたんですか?」
郁の顔色は青く苦しそうだ。
「分からない。でも、やばいって呟いた途端に…」
「…郁、ゆっくりだよ。大丈夫だからな?…って、これ意識若干飛んでますよね…」
「っ郁ー!郁、ほらゆっくーりだよ。」
「陽太さん、ここだと酷くなる一方だから部屋に行きましょう」
「うん!」
俺は急いで郁を横抱きして運んだ。
「すみません!!急いでるんで通して!」
そう言いながら階段を駆け上がった。
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