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第133話

陽太side 春くんが部屋に行こうって郁を抱き上げて階段をすごいスピードで駆け上がっていく。それを少し離れて追いかける。生徒がいて上手くスイスイ上がれないから。 やっと追いついて、部屋に入る。 春くんが郁をベッドにおろそうとが、郁が春くんの首に手を回し離さないようだった。 「すみません、そこの壁にクーラーのリモコンあるんで冷房入れてもらってもいいですか?」 「うん。これだね?」 「はい、ありがとうございます」 郁は泣きじゃくりながらひゅうひゅうと喉が鳴らす。 「郁?ベッドの方がきっと楽だからおろすよ?」 意識が戻ったのか、首を横に振って頭を春くんにグリグリと押し付ける。 「このままだとしんどいよ?」 そう言えばまた首を横に振る。 「郁、ここには春くんとお母さんしかいないから大丈夫。落ち着いて、楽な体勢になろ?」 郁は少し間を開けてこくんと頷いた。 「ほらいい子」 そして頭をゆっくりと撫でる春くん。 「郁、ゆっくり吐くことに集中してごらん?大丈夫だからね。足の感覚ない?冷たいから布団掛けとくね。」 そう言えばうんうんと頷く郁。 「手も冷えてる。大丈夫大丈夫。ゆっくりでいいよ。」 収まったかと思えば、また少し酷くなっての繰り返し。 「ほーら。なんも気にすることないだろ?大丈夫、大丈夫。」 「も、やっ…だ……死に、い……殺…て。」 「何言ってるの?郁!ダメよ。そんな事させないし、しないよ。郁のことが大好きだから。郁のことが必要なの。」 「そういうネガティブなことは考えず、吐くことだけ考えてみな?」 そして1時間ちかく経つまで苦しそうだった。

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