137 / 201

第137話

春side 長い沈黙の中で俺と陽太さんが見つめるのは言うまでもなく郁。 「……」 「…陽太さん、ちょっと食堂行ってきます。郁のことお願いします。すぐ戻ってくるんで。」 「あ、そっか。うん、行っておいで。」 「はい。」 立ち上がり歩き出したが途中で気になって振り返る。 陽太さんはそれを知っいたかのようにこちらを見て頷いてくれた。 「…行ってきます。」 そう返事をすれば、ふふっと陽太さんに笑われてしまった。 パタンとドアを閉じて深くふーっと息を吐く。 そして自分の頬を軽くパンッと叩く。 廊下にいる同級生から変な目で見られながら、今度は何も気にせず食堂へ向かう。 早足で階段を降りる。 食堂に着けば、ちらほら夕食を食べている人がいる。 それを横目に食堂のおばさんのもとへ行けば「はるくん、ちょいと待ってねぇ」と言われたので「はい」と微笑んで答えた。 「…はい、これね。今日は少し遅かったわね。何かあったの?」 「まぁ、いろいろと」 「無理しないことが一番よ!程よくストレス発散して笑うこと!これがはるくんにはいいと思うわ!!」 「ありがとうございます。」 「いえいえ!困ったことがあったらいつでも言ってね!あたしらは、みんなのお母さんみたいなものだから!」 「はい!」 先ほど陽太さんから励ましてもらい、続いて食堂のおばさんにまで元気をもらった。 俺、元気なさそうに見えるかな?なんて考えながら笑ってしまった。 「あ!春くん!!」 俺を呼ぶ声が聞こえる。 俺の笑顔は一瞬にして真顔へと変わった。 聞いてないふりをしてやり過ごしたいと思うが無理だろうな… 早く郁と陽太さんの待つ部屋へ戻りたい。

ともだちにシェアしよう!