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第141話

春said 部屋のドアを開けたら、聞き慣れた泣き声がして、急いで中に入る。 「…春くん、おかえり。郁なら大丈夫だよ。春くんが居なくて焦ったみたい。」 「あっ…そう、なんですね。びっくりした…何があったのかと…」 郁に近づき、俯いている顔をあげさせる。 「…大丈夫?食堂いってて」 「だいじょーぶ。」 「ん、よかった。」 「…あ、春?ごめんね。」 郁は申し訳なさそうにまた俯く。 「何のこと?」 「…いろいろ」 「いろいろ?…んーと、、郁のことに関していえば謝られる様なことは俺自身してないから。気にしなくていいよ?」 「…あり、がと」 そう言ってギュッと俺に抱きついて来た郁に少し驚いてしまう。 「……さて、邪魔者は退散しましょうかね。」 「えわ、あ、いえ。そんな邪魔だなんて、!」 動揺してしまい、自分でも何を言っているのかわからない。 「郁、もう大丈夫。これから強くなれるよ。…春、お願いします。じゃ、バイバイ!!」 郁と俺にそう言い残して去っていく陽太さん。 郁へのメッセージの意味が少しわからなかった。 しかし、郁は俺の腕の中で頷いていた。 「はい!!」 ドアが閉まる直前、聞こえていたか分からないが返事をした。

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