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第145話

春Side 「行ってらっしゃい!僕も早く行けるように頑張るね」 いつものように真羽と俊が俺と郁の部屋に来て、一緒に登校する。 ドアの前で郁が笑顔で手を振ってくれる。 「ん、行ってきます。今日はここのいるんだっけ?」 「うん。ここで勉強してる。」 違うことといえば、郁は一度家に帰るのだが、今日はここにずっといるらしい。 「昼休みに戻ってくるけど、なんかあったらLINEして?」 「うん、ありがと!」 「ん。じゃあ、行ってきます!」 「真羽と俊も!行ってらっしゃい!!」 「いってきまぁーす!」 「いってきます」 3人とも笑顔だったが、心からのものでは無い。 しばらく無言で歩く。 「…なぁ、春?」 こういう時、一番最初にに口を開くのはだいたい真羽なのだが、今日は俊だった。 「なに?」 「……郁、どうしたんだ?」 そう言われても返す言葉が出てこない。俺自身も今日の出来事を整理できずにいる。 「……今日の郁、、無理してる感じと言うよりは…んー、なんって言うか、何かを決意してスッキリしてるって言うのかな。そんな感じがする!」 「真羽、それ余計にわかんない」 「えー?分かるよー!」 いつもなら例えがよくわからない真羽の言葉も、今日に限ってはわかる気がする。 「…わかるよ、それ。」 「ほらぁ!春はちゃんと分かってくれてた!!」 その真羽の言葉に俊は苦笑い。 俺は周りが見えなくなりそうなくらい、郁の事で頭がいっぱいだ。

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