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第5話 初めて【R18】

 「はあ、はあ……西園寺ッそんなことまでしなくていい、からぁ、ああ!」  西園寺の寝室に移動した後、柔らかいベッドの上に落とされた晃は、衣服を全て脱がされた後、西園寺からのフェラチオを受けていた。  技巧もあったものじゃないが、ひたすら「晃を気持ちよくすること」に目標を定められた丁寧な愛撫は、容赦無く晃を蕩かしていった。 「ん、ぷは……幡山、お前はロクでもない男しか相手にしていないから知らないのだろうが、セックスとは本来こういうものだ。一人で気持ちよくなるもではない」 「なん、だそれ……!サキュバスの僕に向かって、セックスを語るとか……!」  いわば「性」は切っても切れないサキュバスの誇り(アイデンティティ)で、その領分に踏み込まれた晃は弱々しくも反論しようとするが、不意に乳首に伸ばされた指の動きによってそれは封じられてしまった。 「あんっ!?」 「ほう……セックスすると『あん』と喘ぐというのは本当だったんだな」 「何それ……西園寺、もしかして純潔(バージン)……?」  確かめるように晃が尋ねるが、続けて乳首を引っ張られたり口に含まれたりして、その疑問も有耶無耶になっていった。 「あっ、ひゃぁ……あん、乳首、あんまり、引っ張らないで……ひぅッ」 「そうだ。今までこの身を他人に許したことはない。西園寺劉輝のはじめてを、存分に味わうが良い」  晃の頭の中は、信じられないという気持ちで一杯だった。  腹一杯にしてやるとか、丁寧に抱いてやるだとか。扇情的な言葉は百戦錬磨の色男そのものだというのにはじめてだとのたまう。  なのに、晃の身体には的確に彼の快楽を炙り出す愛撫が与えられ、感じたことのない高ぶりが渇くような欲望を増幅させる。 「はあはあ……西園寺、もう、いいから早く……欲しい……」  涙目で懇願する晃の虹彩が、アメジストのような紫の光を放っている。このようにして見ると、晃は明らかに人間ではないのだと気づかされる。  西園寺は煽られる自身を自覚しながら、晃の脚を抱え左右に開かせた。すでに後ろの穴はひくひくと物欲しげに動いており、ピンク色に色づくそこにごくりと生唾を飲み込む。  まるで性器だ。 「慣らさなくてもいいんだな?」 「うん……そういう『生態』だから……」  ちゅ、とキスをするようにペニスの先端を尻穴に当てるとピクン、と晃の身体が跳ねる。割れ目のところを撫でるように先端を擦り付けていると、泣きそうになっている晃の顔が西園寺の視界に移った。 「西園寺ぃ……いじわるしないでぇ……早くッ……早く、僕のお腹、いっぱいにして……!」  蕩けた声でおねだりされて、思わず西園寺は一言声をかけることもせずにペニスをずぷりと挿入した。 「ああぁ〜〜!!い、いいッ、西園寺!」  じゅぷじゅぷとゆっくりとした律動ながらはっきりとした水音がなる。濡れている。これもサキュバスの生態なのか、驚くほど抵抗なく西園寺のペニスは晃の胎内へ入り込んでいった。  西園寺は初めて味わうセックスの快楽にぼうっとする。  それだけではない。抱いている晃の反応だ。  地味で、垢抜けなく、いつもへらへらと笑っていてイラつくこともあった晃の顔は、すっかり快楽に蕩けただらしのないものになっている。これが、西園寺自身の手によって引き出されたものであると思うと、彼の中に言いようもない優越感が満たされていく。 (かわいい……幡山は、こんなにもかわいいやつだったんだな)  西園寺が興奮に任せて腰を振る速度をあげると、バチュバチュッ!と大きな音が淫らさを増して鳴り響く。同時に、晃の喘ぎ声も高く淫靡になっていく。 「あんっあ、ああっあん!ひ、ぃ西園寺ぃ、もっと奥までグリグリ責めてぇ……!」 「こうか……ッ?」 「ああッ〜〜!!ひ、い、良い!気持ちい、ぃ!こんなに気持ちいいの初めてだよぉ!」  激しい行為によってベッドのスプリングがギシギシと鳴る。西園寺は晃の身体にのしかかりながら、晃の顔に自身の顔を近づける。  我を失ったように喘ぐ濡れた唇に、西園寺の唇を重ねる。  とにかくキスしたかった。愛おしかった。ぷにぷにと柔らかい唇はずっと食んでいたいくらい心地よく、唾液は甘い味がした。  西園寺は急激に射精感が近づいてくるのを自覚した。  晃の唇から口を話すと、小さく西園寺は告げた。 「そろそろ中に出すぞ……!」 「だ、出して……!お腹いっぱいにして!」  グッと西園寺は晃の腰を掴むと、逃げを許さないとばかりに腰を押し付けた。その次の瞬間、晃の中で精液を噴射した。 「あっ……!」  晃の腹に描かれた文様が、ピンク色に光る。西園寺から注がれた精液が、全てサキュバスの生命力に変換されたのだ。同時に、晃も脳内で火花が散るように性感の絶頂を迎える。  しかし、西園寺のように射精は伴っていなかった。その代わり、西園寺は射精してだんだん冷静になっていくのに対し、晃はビクビクと身体を跳ねさせ夢を見るようにぼうっと天井を見つめていた。 「幡山……?」 「は、ぁ……すごく、沢山の生命力が……僕の中に……こんなに、心地がいいの、初めて……」  幸せそうに微笑む晃の表情が、西園寺にとても美しく映る。これがサキュバスの能力なのだろうか、と考えながら西園寺はまた晃にキスをした。 「んっ……もう、結構十分だよ……西園寺」 「いや、そうではない」 「?」 「足りない」 「!?」 「まだ後5回は続けられそうな気がしてる。その証拠にほら」 「あっ!?中でまた大きくッ……!?」 「サキュバスならそれくらいの回数イケるんじゃないか」 「し、知らない!僕一晩でそんなに沢山セックスしたことない!」  晃は、ただでさえ先ほどのセックスで意識が飛びそうな瞬間が何度かあったというのに、さらに続けると言うのなら今度こそ本当に気絶しかねない。 「それに明日だって学校あるし……」 「だがもう止まれない」  そう言いながら、西園寺はすでに晃の乳首を弄りだし、セックスを再開させようとしてきた。乳首から与えられる快楽に、晃は容易く呑まれてしまう。初めて快楽を感じたセックスをした直後だ。今の晃に、快楽に対する耐性はなかった。

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