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第26話

最後に葛西さんが連れて来てくれたのは、今日から俺が過ごす事になる部屋だった。 「足りないものがあったら言ってね・・・・・・必要経費として落としてあげるから!」 経費って・・・・・・あぁ、『牙』の隊員の人達は給料貰ってるんだな。 俺は一般人ですよ? しかも保護?監視?対象に給料は支給されないと思いますが? ぐるっと部屋の中を見回す。 壁に備え付けの、大きなテレビが目立つ。 本棚にはいろいろな種類の参考書や辞典が並んでいる。 大きなベッド・・・・・・ 「あ、あの、葛西さん」 「当麻でいいよ?なに?」 いや、いきなり呼び捨てはダメでしょ? 年上みたいだし。 「あ、いえ、あの・・・・・・当麻さん、俺バイトを」 「さん?他人行儀だな。よし、当麻先輩で妥協しよう・・・・・・で、可愛い後輩、鷹宮はバイトしたいの?」 俺達、さっき会ったばっかりの他人ですよ? 当麻先輩、に、コクンッ頷いた。 名前で呼べっていうわりに、俺の事は名字呼びなんだな。 「毎月給料が支給されるのに?」 いやいや、それは貴方方『牙』の隊員の方々だけで、俺は一般人ですから。 しかも今は一文無し。 先立つものがないと生活できないでしょ? じ~っと見詰められる。 なんか疑われてる? あ、バイトに行くふりして逃げ出すとか思われてる? 「あ、あの、俺、今一円も持ってなくて・・・・・・生活に必要なモノを買うことができな」 「だから、必要経費として落としてあげるって」 「俺隊員じゃありません」 「ん?」 俺何かおかしなこと言いました? 可愛らしく小首を傾げて、不思議そうに俺を見てますけど? 「一般庶民は働かないとお金が貰えないんですけど?」 働かざる者食うべからず、って言いますよね? なのでバイトをして稼がないと・・・・・・・・・ 「鷹宮は俺の補佐役だろ?」 はい?補佐役? 「優秀な助手が手に入った、喜べって有栖から聞いてるんだけど?」 助手? 誰が? 俺が? アリスって確か、『牙』第七部隊のリーダー、白雪有栖? どう見ても小学生くらいのガキなのに、二十九歳だと自己紹介された、あのガキ? 俺何も聞いてないんですけど? 「ほら、クローゼットに鷹宮用の隊服も用意されてるし」 火爪さんと同じだ。 腕に『七』とある赤い腕章も嵌ってる。 お、俺の隊服って? そんなの、いきなり『牙』の隊員に俺が? 一般庶民が、試験とか何もかもをすっ飛ばして隊員になんてなれるわけないだろ? 適性検査とかもしてないですよ? 「な?」 可愛らしく笑顔で言われても、俺、今困惑してるんですよ? 気付いてください。 「有栖から鷹宮のデータもらって確認したけど、君の能力なら、俺の補佐役は完璧に勤められるよ」 グッと親指を立てて・・・・・・当麻先輩のお墨付きを頂いてしまった。 俺が当麻先輩のお手伝いをするのは、決定事項のようだ。 って、俺のデータってどんなのなんだろう? どんなことを手伝うんだろう? 「俺の補佐役ってことは滅多に戦闘には参加しないってことだから、あいつらも渋々ながら納得させられてたし」 あいつら? 「鷹宮を手元に置いておきたいなら、それなりの仕事を与えておかないと恐縮しまくって体調壊すぞって有栖に脅迫されてて」 誰が? 「獅童兄弟の、特にあの火爪の顔って初めて見たから・・・・・・・・今思い出しても可笑しい」 火爪さん? あの白雪有栖ってガキは、本当に火爪さん達のリーダーってこと? 「当麻、ここにいたのか」 第三者の声に、ビクッと肩が飛び上がる。 開けたままの扉がノックされて・・・・・・突然イケメンが現れた。

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