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第40話

ところで、皆帰ったっていうのに、どうして俺は職員室に呼び出し食らってんだ? 今日は始業式と、クラスでちょっとした自己紹介をし合って解散・・・・・・じゃなかったか? 他の先生達は忙しいのか? 職員室には俺達二人しかいない。 さっさと解放してくれないかな・・・・・・北斗スミレちゃん? 担任がなにやら分厚いファイルを捲りながら、眉間に皺を寄せて、盛大な溜息を吐き出した。 担任の手元を盗み見れば、俺の写真が貼ってあるページが開かれてるわけだけど・・・・・・ 「前世の記憶がまだ覚醒していないとは聞いているが、今朝のあれはなんだ?」 今朝のあれ? 何の事を言ってるんだ? 「お前、やっぱり今生でも戦場で真っ先に死ぬタイプだな」 やっぱりって・・・・・・なんだよ、それ! 今生って? 意味分かんないこと言われて、なにか言い返そうとして大口を開けた瞬間・・・・・・ ドクンッと大きく心臓が跳ね上がった。 咄嗟に胸を押さえて、目の前の担任を睨みつける。 いや、睨んだんじゃなくって・・・・・・ ただ、目が逸らせなかっただけ・・・・・・ 殺気を・・・・・・向けられていたから。 それも強烈な・・・・・・無意識に足がガタガタ震えだして・・・・・・声を出す事も出来ず・・・・・・呼吸もしにくくなってきた・・・・・・ こいつ、ただの教師じゃない? 「前世の記憶がねぇと、随分腑抜けになるんだな」 え? 北斗スミレが視線を外すと、俺はその場に座り込んだ。 「まぁ、お前が死んだら一応骨くらいは拾ってやるが・・・・・・私の足は引っ張ってくれるなよ」 「なっ・・・・・・なんなんだ、あんた!」 漸く出せた声は、震えていた・・・・・・俺、格好悪い・・・・・・ 「あぁ、そうそう、一番大事な用件を言い忘れるところだった。コレ旧館の鍵」 はい? 「旧館?」 「ソレ持って旧館へ行け」 チャリッと手の平に古い鍵が乗せられた。 ズボンの尻ポケットに入れておいて、そのまま座ったらりしたら、すぐに折れるんじゃねぇかってくらい、ボロい。 で、えっと・・・・・・昨日白雪有栖リーダーから渡されたファイルの中には、旧館関係の書類はなかったんですけど? 「あ、あの・・・・・・旧館って、何処にあるんですか?」 もっともな質問だろ? 「・・・・・・裏山」 なに、その面倒くせぇって顔は! 「その旧館って、何があるんですか?」 「行けば解る」 あ゛? 「ほら、さっさと行け」 座り込んだままの俺の腕を掴んで立たせ・・・・・・っつうか、あんた、見た目の割りに結構力あるな・・・・・・ 俺はそのまま廊下へ出された。 けど、まだ足に力が入りきらず、俺はへなへなと座り込んでしまった。 一体なんだったんだ?

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