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 とろりと、鈴口から垂れた雫が雪人自身の顔に滴り落ちる。 「ひぁ…ぁっ、ゃ…あっ」  自身の先走りで顔を濡らし、雪人が倒錯的な快感に蝕まれるのに時間はかからなかった。たらたらととめどもなく滴り落ちる雫を、匡成が命じるまでもなく口を開いて受け止める。 「くくっ、旨いかよ?」 「あっ…はッ、…おぃひ…もっとぉ」  求めるように舌を伸ばす雪人のさまに匡成は満足げに喉を鳴らすと、指を襞の中へと潜り込ませた。柔らかな媚肉が指先を食んで、奥へと誘う。 「ぅくっ…んッ、あっ…イイ、まさな…っ」  敏感な部分を抉られたくて、雪人は自ら腰を揺らした。 「随分はしたねぇ真似をするじゃねぇか。なぁ雪人」 「ゃ…言わない…で」 「嘘吐くんじゃねぇよ。詰られんのも罵られんのも好きだろぅが」  匡成が言うたびに雪人の蕾はきゅうきゅうと指を食んで、すべてを知られてしまう。それが恥ずかしくて気持ちが良くて、雪人はボロボロと涙を零した。 「す…きぃ…、まさ…なりっ…好きッ、もっと虐めてくださいっ」 「いい子だ雪人。抉ってやる」 「んっ、…うんッ、シて…っ、いっぱい…ッ」  匡成の指が気持ちいいところをゴリゴリと圧し潰すたびに、雪人の口からは濡れた嬌声が漏れる。どんな風に匡成の指を飲み込まされているのかを眼前に晒される事は、雪人に途方もない歓喜をもたらした。 「ま…さなりの…指っ、挿って…ッ、気持ちぃ…いっ」  とろりと溶けたような顔で浮かされたように喘ぐ雪人の雄芯は、今にも精を吐き出してしまいそうなほど張り詰めて震えていた。  あっという間に指を三本まで増やされ、飲み込まされた匡成の指が容赦なくナカのシコリをくじる。堪えきれずに雪人は自身の手で根元をぎゅっと握り込んだ。 「ひんっ…あっ、らめッ、イっちゃ…出るッ、まさな…っ」 「イけよ。てめぇの顔にぶちまけてみせろ」  匡成が言えば、素直に雪人の手がぼとりと座面に落ちる。揺さぶられるまま雪人は快楽を甘受していた。 「あく…っ、んんッ、ぁっ…あ、ああッ、もっ…イっく! アッ、―――…ッッ」  勢いよく爆ぜた熱は、当然雪人自身の顔を汚した。白濁に塗れながら微妙な表情を浮かべ、雪人はそれでも舌を伸ばす。 「はっ…ぇぁ、にがぃ…嫌だ…」 「ははっ、俺のは良くっても自分のは嫌いかよ?」  言いながら匡成が座面へと背を下ろして横たえてやると、雪人は拗ねたように言った。 「ぉいひくな…ぃ」 「どれ…」  雪人の顔に飛び散った白濁を、匡成が舌で掬う。今にも口に入りそうだったものを舐めとられ、雪人は顔を真っ赤にする。 「お前の味がする」 「言わなくていい…」 「挿れて欲しいか?」 「う、ん。欲しい…」  匡成の背に、雪人の腕が伸びる。白濁を舐めとりながら、匡成は前を寛げただけの腰を進めて雪人の躰の中へと押し入った。 「あっ、んっ、…匡成っ、舐めな…ぃで」 「なんでだよ?」 「…犬に…されてるみたい…」  困ったようにはにかむ雪人に、匡成が喉を鳴らす。べろりと大袈裟に顔を舐めた後で口を開いた。 「はん? どっか食いちぎられてぇのか?」 「嫌だ…」  いつになくゆっくりと雄芯を飲み込ませる匡成に、雪人がふるりと震える。最奥の壁を先端でぐりっと押し上げられて、雪人は仰け反った。 「っは、あっ、ああッ」 「それじゃ舐めてやれねぇだろ」 「だっ…て、ぁっ…奥ゃぁ」  昔からあまり日焼けをしない雪人の、白い喉が艶めかしい。がぶりと、匡成は歯を雪人の仰け反った喉元に食い込ませる。その瞬間、雄芯を食ませた蕾がきゅうと収縮して匡成は短く嗤った。 「ひあッ、やだ…っ、噛まないでぇっ」 「その割に、ケツの穴締め付けてんじゃねぇか」  じりじりと歯を食いこませる匡成に、雪人はゆるく頭を振る。噛み痕が残ってしまいそうなほどきつく食まれ、奥をぐるりと掻き回されて、雪人は唇を戦慄かせた。 「はっ、ぃぃ…きもちぃ…まさ…なりっ」  堪らず雪人は自ら引き寄せるように匡成の頭を掻き抱いた。このまま喉笛を食いちぎられたとしても、匡成ならいいかなんて、有り得もしないのにそんな考えが雪人の脳裏をよぎる。 「ま…さなりぃ…っ、噛ん…っで…匡成のものにしてっ」 「ばぁか、またお前は変な性癖身につけんじゃねぇよ」  首に顔を埋めたまま、匡成が笑う。くっきりと歯型の残るそこをべろりと舐めあげられて、雪人は僅かに物足りなさを感じてしまうのだ。 「傷物にされたら…一生そばに居られるじゃないか…」 「まだ足りねぇなら、もっと傷物にしてやんよ」  そう言って躰を起こした匡成に、めいっぱい入っていると思っていた雄芯をさらに奥まで飲み込まされて、雪人は声にならない悲鳴を上げた。 「あぐ…ッ、ぁ、お…く、壊れ…っ」  全身を強張らせる雪人の片脚を、匡成の手が掴んで持ち上げる。雄芯を捩じ込んだまま片足を抱えるように持ち上げられて、雪人は堪らず悲鳴を上げた。 「ひやぁッ! そっれ…いじょ、無理ぃ…イッ」 「ああ? 傷物にされてぇんだろ? ずっと一緒に居てやっから安心しろよ」  匡成の言葉と、今までに感じた事のないほど奥まで浸食されて雪人はガタガタと躰を震わせる。いつもとは違う角度で飲み込まされた雄芯が奥の壁をゴリゴリと押し上げて、突き破られそうな恐怖に涙が零れた。それなのに…。 「ひぐっ、やッ…何でぇ…っ、まさなっ…匡成ッ、躰っジンジンするぅ!」  激しくされるどころかいつにもなくゆっくりと中の壁を圧迫される感覚に、雪人は痺れるような疼くような快感が躰の奥底から湧き上がるのを感じた。  匡成の雄芯を包み込む媚肉が、雪人の意思とは関係なく勝手に動いてきゅうきゅうと収縮する。 「えぁあッ、まさなっ、それやぁ! やらっ、イっちゃ…イってぅ! 出てなぃッのにぃ!」  必死に匡成に訴えても、匡成はニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながら雪人の奥の壁を押し上げ続けた。 「ひあっ、あっあッ、まさ…ましゃなぃッ、とまんなぁ…ぁああッ」 「はッ…お前、締め過ぎなんだよ…ったく」  些か苦しそうな匡成の声など、雪人には聞こえる筈もなく。とどまる気配のない快感の波に雪人は揺さぶられ続けた。  ぞわぞわと腰のあたりから広がる痺れがつま先まで届く。匡成の雄芯でどこまでも侵されそうな恐怖と、得も言われぬ多幸感の中で雪人は訳が分からなくなった。ただただ匡成が欲しくなる。 「あぁあっ…ましゃな…っ、ましゃなぃぃ…、中に…っ、ましゃなぃの…精子欲しっ、女にひてぇ…ッ」  心の奥底に眠る願望を雪人が口にすれば、匡成がその唇を塞いだ。口腔を蹂躙され、痛いほどに舌を吸い上げられて雪人が涙を流す。唇に触れたままの匡成の口角が綺麗な弧を描いて吊り上がった。 「野郎のくせに女よりも夢中にさせやがって…責任取れよ。なぁ雪人、お前は俺のもんだ…ッ」  文字通り、匡成に唇をブツリと噛まれて雪人は傷物にされた。同時に躰の奥底に匡成の熱が吐き出されるのを感じた雪人は、痛いのに気持ちが良くて、とてつもなく幸せな気分になる。 「う…ん、うんっ……放さないで…匡成っ」  抱き締められて、雪人は匡成の優しさを全身で感じていた。  やがて額に軽く唇を触れさせて匡成がゆっくりと雄芯を引き抜く。だが、雪人は物足りなさに小さな喘ぎとともにもじもじと匡成の腰に太腿もを擦りつけてしまった。  匡成が、喉を鳴らす。 「くくっ、物足りねぇってか?」 「ぅ…だって…」 「男、だもんなぁ?」  ニヤニヤと笑いながら言う匡成は、大概意地が悪い。けれど次の瞬間、脚の間に顔を埋めた匡成に反り勃った雄芯を咥えこまれて、雪人は驚きに目を見開いた。 「まさな…ッ」 「くふっ」  短く嗤った匡成に、雄芯を食んだまま『大人しくしてろ』と、そう言われて雪人の腰が跳ねる。躊躇いもなく屹立を喉の奥まで飲み込まれ、雪人は嬉しくてボロボロと涙を零した。男でもいいと、そう言われているようで。  そんな雪人の様子に、だが匡成は苦笑を漏らして一旦顔をあげた。 「泣く暇があるなんて随分余裕じゃねぇか雪人。いつまでその余裕がもつか見ものだな」 「っ…」  ニタリと、意地の悪い笑みを浮かべて再び雄芯を飲み込んだ匡成は、雪人が口を開く間もなく雄芯をきつく唇で食んだ。そのまま、舌を絡ませて扱きあげる。 「ひあッ、あっあっ、待っ…て、まさな…ッ」  既にたっぷりと唾液に塗れた雄芯をザラリとした舌で舐めあげられ、きつく閉じた唇で擦り上げられるのは、男である雪人に途方もない快感をもたらした。あっという間に熱を吐き出したくてどうしようもなくなってくる。  浮かされたように口から嬌声を零す雪人の手が、匡成の頭へと無意識に伸びた。 「あッ、ああっ、まさなっ…気持ちぃッ」  堪えるように髪をきつく掴む雪人に小さな笑いを零し、匡成は舌先でぐりっと鈴口を抉った。ガクガクと震える雪人の嬌声を聞きながら、匡成は吐精を煽るように雄芯を口腔で弄ぶ。 「ひぁんッ、やッ、らめっ出るっ、出ちゃ…匡成ぃ! ぁッ、―――…ッッ! ふッ、く…ッ」  ぎゅっと髪を掴まれ、口の中で質量を増した雪人の雄芯が欲を吐き出す。幾度か脈動を繰り返し、雪人が吐き出しきるまで匡成はその口を離さなかった。  ゆっくりと弛緩していく雪人の腰を、匡成の温かな手が優しく撫でる。それはまるで、褒めるようなそんな仕草で。 「ぁっ…ふ、…ま…さなりぃ…」  いつの間にか髪を撫でている雪人に苦笑を一つ漏らして、匡成は口の中の体液を飲み干すと、悪戯に水音を響かせながら雄芯を強く吸い上げた。 「ひゃらぁあああッ! もっ、出な…ッ」  慌てて髪を引っ張る雪人の手に逆らうことなく顔をあげた匡成は、くつくつと喉を鳴らして嗤う。 「痛ぇだろぅが」 「っ…お前が…悪いんじゃないか…あんな…」  そう言う匡成の顔は笑っていて、明らかな嫌がらせだとそう思うのに雪人はイかされてしまった手前文句も言えない。だが、匡成の意地の悪さはとどまるところを知らなかった。 「ああ? 掃除してやっただけだろ」  シレッと言い放つ匡成に、雪人は開き直ることにした。のだが…。 「あんな手荒い掃除があるか…っ」 「あっただろ?」 「ぅぐ…」  匡成の態度が照れ隠しだと分かっていても、ついつい拗ねたくなってしまう雪人である。なかなかどうして、もう少し余韻に浸らせてくれてもいいのではないかと思う。  そんな思いは、言葉になって雪人の口から零れ落ちた。 「せっかく…嬉しかったのに…バカ…」 「ッ…」  ふいっとそっぽを向く雪人に、思わず息を呑んだ匡成は苦虫を噛み潰したような顔をする。些か揶揄いすぎたかと反省したところで今更遅かった。  抱き締めようとして腕からすり抜けられ、立ち上がった雪人を見上げる形になった匡成は少々情けない面持ちだ。 「お前なんかもう知らんっ」  ぷいっと顔を背けた雪人の背中が風呂場へと消えて、匡成は思わず噴き出した。 「女のヒステリーかよ…」  ぼそりと呟いて立ち上がると、匡成は頭をガシガシと掻きながら雪人の後を追う。さて、どうやって不機嫌な嫁を慰めてやろうかと、そう思いながら。

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