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第20話 はじめての、ミルク(*)
紅葉が、濡れた臣との結合部をねっとりとなぞりながら言った。
「臣ちゃんが、可愛くイくところ……みんなしっかり見てたよ……?」
その声に、ゾクゾクと悦楽が身体の内部を駆け抜けてゆく。熱い指先が触れるたび、臣の結合部はきゅっ、と締まり、内壁が痙攣を繰り返した。目の前が真っ白になる快楽に身体を震わせ、仰ぐと、果物たちが左右の手を握り返しつつ、濡れた眼差しで臣を見つめていた。
「はぁ……っん、ぁ、紅葉……っも、一緒に……ぃっ」
砕け散るような快楽に溺れそうになりながら、臣は言った。
A307号室のドアを開けるまでは、ガチャみたいにして決まった相手と、手順の決まった子作りをするのだとばかり思っていた。それが、紅葉を引き当てて、こんなに愛してもらえるとは、想定外だった。臣にとっての紅葉がそうであるように、紅葉にとっての臣もまた、唯一の存在であればいい。そう強く願う。
「お……れの、嫌がること、して、ぃ……っからぁ、俺を……ったくさん、虐めたら、紅葉が……出来損ないなんかじゃないって、わか、るから……っ」
臣が腰を振ると、中を擦りながら臣のしたいようにさせるところが、優しくて、格好よくて、大好きだと思う。出来損ないだと思うなら、臣に聞いてみればいい。臣の身体に聞いてみれば、今の紅葉がどんなに凄いか、わかるはずだ。紅葉の苦しみも哀しみも怒りも切なさも、全部、注ぎ込んでほしい。孕むほど激しく。泣くほどたくさん。紅葉の気が済むまで、紅葉の好きな形でするなら、それが何でも良かった。
「臣ちゃん……」
「ん……ぁ、紅葉、かっこい……っ、俺を虐めるとこ、好き……っ」
涙を溜めて臣が言うと、紅葉は優しく臣の額に張り付いている髪を梳いた。
「──そんなこと言うと、4Pするよ?」
一瞬、息を止めた臣に向かって、紅葉が揶揄うように言う。
臣はしかし、こくんと頷いた。
「ぃ……ょ、して……っ、紅葉がいいなら、俺も、ぃ……から、っ……」
視界が不良なのは、なぜか出てくる涙のせいだ。
だのに紅葉が心配そうに覗き込んでくる。
「ん、っ……、俺が、孕むのは……っ、紅葉の種、だから……っ、紅葉に……されるの、好き……ぃっ、だからぁ……っ」
ねだるように腰を左右に動かして言うと、今度は紅葉が息を止めた。同時に臣の中にある紅葉の剛直が、ぐぐ、と太さを増す。
「なんっ……で、おっき……く……っ」
「──きみがあんまり煽るから」
「だぁ……っ、て、ぇ……っ」
だって、しょうがない。好きなのだから。
きっと紅葉もそうなのだ。それなら、嬉しかった。
紅葉はゆるゆると腰を動かしながら、やがて決断を下した。
「──果物たち、臣をシェアしよう。キスも愛撫も、全部、解禁する。……二人とも、臣を頼む。一緒にしよう?」
紅葉が言うと、それまでじっと臣の両手を握っていた林檎と蜜柑が動き出した。紅葉は、臣の片足を抱え上げ、松葉崩しの体位になると、さらに深く結合させてくる。林檎と蜜柑は臣の頭上で、伸び上がりキスを重ねていた。するりと臣の両手が自由になると、紅葉が臣の利き腕を手に取り、中をゆっくりと犯しながら、がじ、と指先に歯を立てた。
「んっ……ぁ!」
噛んだところを舐めて、また噛まれる。強めに甘噛みされると、歯型が残りそうで怖いのに、ゾクゾクした。
「も……っと、噛んで……っ」
臣の言葉を待っていたように、紅葉は臣の担ぎ上げていた片脚を反対側に下ろすと、後背位になる。しどけなくシーツの上を這った二の腕を紅葉が持ち上げ、臣の上体を引き上げると、膝立ち状態になった。体勢を変えることで中の擦れる場所が変わり、臣は甘い声を上げた。
「ぁ、んっ……! そ、こぃ、……っぃ……!」
紅葉は脇の下から腕を通して、臣の両方の乳首をきゅっと摘まんだ。臣が息を呑んで声を我慢していると、うなじをがじ、と甘噛みされる。
「ふぁ……っ!」
臣の目の前にいる林檎と蜜柑は、濡れた目をして互いに脱がせあって、裸体を晒し、キスをしていたが、やがて臣に向かい合うように蜜柑が膝立ちのまま、いざり寄った。
「ぁ──義兄さん……っ」
「蜜柑……っ」
多少の早急さを伴って、林檎が蜜柑の後蕾に挿入を果たす。蜜柑は臣の身体を抱くようにしてバランスを取り、屹立してトロトロと粘液を零し続けている臣のペニスを、自分のモノと一緒にして捏ねた。臣自身、射精しているのか、それともその前段階なのか、わからないほどに快感が増し、思わず紅葉の名を呼びかけたが、蜜柑の唇にそれを阻まれる。
「んっ……っふぅ……、っ……んん」
蜜柑のキスは、甘くて可愛かった。ずっと放って置かれた前を弄られて、紅葉には乳首と後蕾をいいように遊ばれ、もうだめ、それだめ、と声が出てしまうのを必死で堪える。入れたままの紅葉の剛直が臣の内襞をぐり、と擦り上げるたび、びくびくと下腹が波打ち、新たな愉楽が生まれていった。
「はぁ……っ、く、ふ、ぁ……んっ」
「臣ちゃん、出したい? でも、まだ、駄目だよ」
紅葉の両手が弄んでいた臣の乳首を、ぎゅ、と押しつぶしたり、転がしたりするたび、新たな快楽に腰が痺れて内壁が締まった。何度も腰に力を入れて、迫りくる快楽を逃していたが、やがてそれがかなわないと知ると、紅葉と蜜柑の動きに合わせ、臣は腰を揺らしはじめた。その間も、紅葉の乳首への愛撫は止まず、次第にヒリヒリとよくわからない疼きが生じはじめるのがわかった。
散々嬲られ、赤くなった乳首を、今度は不規則にぎゅっと摘まれる。かと思うと指先をすり合わせて捻られ、爪と指の境目で潰され、ぷくっと勃ってきたところをまた弄られるうちに、次第に乳首が感じる器官であることを、覚えさせられはじめる。
その間も、紅葉の動きと、蜜柑に挿入した林檎の動きに合わせて、ペニスが蜜柑と臣の腹の間で擦れ合うのが、震えるほどに気持ちいい。
「臣ちゃん、乳首、気持ちいい……? 中が、ずっとビクビクしてる。果物たちに、たくさんしてもらって、いいね……? みんな、きみのこと、大好きだよ」
「んっ、ん、……っれも、好きぃ……っ、紅葉……っ、くだ、もの……っ、ぁっ……ぁ!」
ゆっくりとあやすような抽挿への期待と、ままならなくなりつつある乳首への快楽が、臣の中で入り混じり合った。
「んん……っ! それ、したらぁ……っ」
「うん。気持ちいいね?」
「ぁ……っ!」
中を突かれながら乳首を虐められると、どうしようもない愉楽が湧いてくる。逃れられない悦楽の中、紅葉が臣をシェアすることを選んだのは、臣だけを傷つけないようにするためだとわかっていた。紅葉は自分も一緒に傷つくことで、臣の願望をかなえるのと同時に、臣の心を守ろうとしてくれている。
同時に紅葉は、自分の中にある嫉妬心を、臣の告白を機に、昇華しようとしているようだった。
「俺の……、俺たちの、可愛いお嫁さん……。乳首、もっと可愛がってほしいよね?」
「ぁぅ……っ! はぁ……っ、ん、んっ……かわ、いが、って……ほし……っぃぁ……!」
言いながら、言わされながら、臣は頭の片隅で警鐘が鳴るのを感じていた。こんなに感じて、怖いとすら思う。なのに、まだ先があるようで、焦らされれば焦らされるほど、どうしたらいいかわからなくなる。
「臣ちゃん……っ、乳首、いい……?」
「んん……っ、ぃー……っ! 紅葉、も……っ、俺で、イッて……ぇっ」
膨れた乳首の付近から胸全体へ、どこかあやしい、むずむずするような、なんとも言えない甘い感じが、じわりと広まってくる。刹那、ぎゅっ、と左右の乳首を同時に潰され、臣は悦楽のあまり仰け反った。
「ぁ……っ? 何……っか、ぁ! 駄目、っそれ……っぇ!」
急に押し寄せた快楽の波に、眸を開けて、紅葉に弄られている乳首を、どうにかしようとするが、ままならない。紅葉は絞るように乳首を揉みさすっていた。与えられ続ける愉楽に、ガクガクと身体が震え出した次の瞬間、乳首の中心部分を吸い出されるように潰され、何かとてつもなく甘く、熱い感覚が、びゅっと吹き出した、と感じた。
「ぁあっ……! っゃ、何か、出っ……!」
びゅく、と左右の指で押し出すように絞られた時、両方の乳首から、何か甘い衝動を伴い、液体が噴出してゆくのがわかった。とてつもない愉楽を伴ったその射出に、臣が思わず仰け反る。それは一度、出はじめると、まるで潮を吹いた時のように、断続的に続き、強烈な快楽をもたらした。
「ぅぁ……っ! ぁ……っ! ひぃ……っ!」
びゅっ、と蜜柑の身体に臣の乳首から出た、さらりとした白い液体が飛ぶ。
林檎と蜜柑が指先でそれをすくい、舐めると、臣が涙目で訴えた。
「だ……っめ、飲んじゃ……っ」
「ミルク、だ……」
「……ミルク」
果物たちの声に、臣は半分、泣きじゃくるようにして身体を震わせはじめた。
「ど、どう……っ、しよ……も、もみじ……っ、お、れ……っ、こんな……っ」
身体の変化に戸惑い、泣きつく臣を、紅葉はそっと耳元で宥めた。
「身体がオメガとして成熟した証だよ。健康な証拠。これから毎日、搾乳してあげるね?」
「ぁ……ぁぁ……っ、ほんと、に……?」
「うん。俺たちのお嫁さんらしく、なった印だから」
紅葉はそう囁いて、もったいぶるように臣の中をゆっくりと、円を描くように抉った。同時に弄り回していた指を離すと、紅葉はその指先を口に運んだ。指の腹で先端を擦られ続け、ぷっくりと勃ち上がり、柘榴のように赤くなっている乳首を晒した臣に向かって、耳朶を食みながら紅葉が言ってくる。
「臣ちゃんのミルク、甘くておいしい。お嫁さんの味がする。こんな可愛い乳首を持ってるなんて、他人に知られたら大変だね? 俺が──俺たちが、ちゃんと守ってあげるからね……」
「ぁ──俺……っ」
「ん?」
可愛いお嫁さん、と言われた途端、臣は幸せのあまり、心がぎゅっとなるのを感じた。これで本当に、紅葉のものになれると思うと、心の底にあったわだかまりが、ゆっくり溶けていく気がした。
「俺……っ、紅葉の、種を、孕みたい……っから、中、ぐしゃぐしゃに……っ」
「──うん」
言うと、紅葉は緩々とした抽挿を、段々と速めていった。一方で、林檎も蜜柑も、また紅葉の動きに合わせ、次第に動きが速まっていき、臣もまた、その動きに合わせて腰を動かした。ぎゅ、とペニスを蜜柑の腹に押されて、ぐり、と結合部を捏ねるように回されるたびに、中の違うところに当たるのが、全部いい。強弱をつけてそうされると、もうたまらなくなった。
紅葉の方を振り仰ぐと、噛み付くようなキスをされる。
舌を絡めてきた臣に向かって、紅葉はとろりと笑いかけた。
「一緒に、イこう……っ、果物たちも、臣も、みんな……っ」
「んっ……っ」
紅葉も臣も汗だくで、果物たちを見ると、彼らもまた何かを我慢するように歯を食いしばり、ガクガクと抽挿を続けている。紅葉と蜜柑と林檎に挟まれた臣は、次第にもみくちゃにされながら、膝が震えはじめるのを感じた。限界が近かった。
「臣、っ出すよ、いい……っ?」
じわじわと痙攣をはじめた臣を見て、紅葉が抽挿の速度をさらに一段階、上げた。紅葉にうなじを奪われ、深く繋がされる。同時に果物たちが、臣のペニスを腹で捏ねながら抽挿を速めた。
「臣さん……っ」
「臣、さん……っ」
そう短く名を呼んで、一足飛びに紅葉と臣の速度へ、ついてこようとするのが、胸を打つ。
臣の、下腹の臍の近くへ、紅葉がそっと指を乗せる。
「ここに、俺の種、……っ、撒くよっ……臣ちゃん……っ」
臣は、頷いているつもりが、伝わっていないかもしれないほど、身体の奥が痙攣しはじめるのがわかった。
そこへ、奥の奥、一番狭いところへ、紅葉の先端が届くと、もう我慢ができなかった。
「ぁあぁ──……っ、紅葉……っ、出して、今、孕む、から──……っ」
「んっ、イくよ……っ、イく……っ!」
切羽詰まった紅葉の呻くような声と同時に、臣の最奥に放たれた種が、ぐじゅっ、と凄い音を立てた。その次の瞬間、林檎と蜜柑が白濁を放出したのがわかった。同時に臣の前から、ドロリと大量の白濁混じりの粘液が放出される。
「ぁ……っ」
数度にわたる射精を終えた紅葉が、まだ弾んでいる息を落ち着けようとして、臣を抱く。
「紅葉……っぁ、くだもの……っ、は……っぁ」
「臣ちゃん……俺の可愛い人……」
言った紅葉に至近距離で見つめられると、それだけで心臓が誤動作を起こしそうだった。
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