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一、最悪最低な⑩
***
自分の意思とは正反対に熱くなっていく身体。
何度も逃げようと暴れたが、いつしか暴れるたびに擦れる服の刺激でさえ声を漏らしていた。
熱くなって、体中痺れて、目の前のαの匂いで眩暈がした。
乱暴に服を破かれ、のしかかってきた男は、僕の匂いに反応して荒い息を吐いていた。
こいつも、Ωのヒートに充てられ、理性が吹っ飛んでいる。
「こんなに強い匂い、今まで嗅いだことがねえ」
「やめろ、触れるな」
「無理だって。ヒートしちゃったら、ここに注いでもらわないと、――治まんねえよ」
ズボンを脱がされ、侵入してきた指が、濡れた中を掻きまわした。
僕の身体じゃないみたい。いやらしく濡れていく窄みに、涙が込み上げてくる。
ぐちゅっと響いた水音と、指が動く度に襞がひきつる感覚に、両腕の力が入らない。
何が行われているのかわからない。
自分の腹に当たるほどそそり立った肉茎からも蜜が溢れてくると、乱暴に握られ、擦られた。
「ひゃあっ」
痛い。気持ちがいい。いやだ。もっと。
理性と本能が暴れて、自分でもコントロールできていなかった。
これが今までαに蔑ろにされてきたオメガの性質なのかな。
「やだ、いく、いくっ」
簡単に、数回擦られただけで達してしまった僕を見下ろしながら、沖沼もズボンのファスナーを下ろしていく。
「い、いやっ」
身体をよじるように逃げ出そうとしたら、跨っていた足に力がこもった。
下着が下ろされ、興奮して高ぶっている彼の肉茎は、凶器に見えるほどそそり立ち、硬くなっている。
暴れて手で追い払って、けれど簡単に振り払われ、濡れた窄みに宛がわれた。
何度も叫んでやめろと言ったが、僕の体に触れるたびに口数が減っていた男は、僕の体の奥へ奥へと侵入してくる。
蛙のようにひっくり返った僕に、先走りで滴る熱芯が押し付けられた。
暴れまわった僕の手のすぐ横に、きらきらと眩しい明るい恋愛が描かれた少女漫画が風でペラペラと濡れている。
「いやだ。やめて、やめて」
身体をよじらせるが腰を捕まえられ、ファーストキスを奪われた。
「俺もあんたも、もう止まんないって」
ぐちゅっと大きく接触部分が音を立てると、引き裂くような熱と質量が腹の中へ入ってきた。
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