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一、最悪最低な⑪

 奥へ、こつんと当たるたびにはしたなくそそり立った僕の熱芯からも先走りが溢れていく。  奥へ、もっと奥へ。  少し抜かれ、奥へ強く突かれるとかるく体が撥ねる。  びくびくと背中がしなって頭が真っ白になると「軽くイけたな」と頭を撫でられた。 「もう、いやだ。抜け、抜けよっ」  利圭は無事だろうか。  暴れ蹴飛ばし、卑猥な糸を垂らしながら熱芯を抜かせると、這いつくばって利圭の方へ向かう。 「ああつ いって、いてえっ いやだっ」  カーテンの向こうで、利圭の足が見えた。  覆いかぶさって腰を穿つ生徒会長の背中も見えた。 「利圭っ」 「よそ見してんじゃねえって」  足を引っ張られ、引きずられ再び熱を宛がわれた。 「離せ、お前、こんなことして」 「別に。番にしてしまえば、あとは大切にすればいいだろ」  番?  驚く僕の両腕を掴むと、彼は首を舐め出した。 「やっいやだ、いやあっつ」  暴れようとしたら、乱暴に腰が穿ち、中へ中へ侵入される。  腰が動く度に、知らなかった快楽と強い匂いで眩暈がした。 「俺の運命だ」 「おね、おねがい」  ガタガタ震える身体は、恐怖と絶望だ。  それなのに心とは反対で快楽で火照るからだが信じられなかった。 「お願いだから、噛まないで」  言いながら嗚咽がこぼれた。怖い。 昨日までヒートの経験さえなかった。身体を貫かれたことも、快楽も誰かに触れさせたこともない。  怖い。何もかも知らなかった僕の、すべてを奪おうとしないで。 震えて逃げられる状態じゃなくなった僕の、最後の本当の懇願だった。 彼は一瞬辛そうに眉をしかめたが、怯える僕の唇に優しくキスすると、「悪い」と謝ってきた。 「どうしてもあんたを番にしたいんだ」 「いや、いやだああああ」  何度も床を蹴飛ばし暴れる。  けれど、首筋に刺さる歯の痛みに、いつしか足を暴れさせるのは辞めた。 ああ。 ああ。 天井を眺めながら、号泣していた。 ああ。 明日からもう。 少女漫画は読めないなあ。 αとのセックスは、汚くて乱暴で、――征服欲を満たすためだけの行為。 全く愛なんて感じられない、身体だけが気持ちよくなるセックスに気づけば発狂していた。 押さえつけられ口を押さえつけられても噛み、暴れ、起ちあがった。  立ち上がったら、散々注がれた精液が太腿から伝って足を汚したが、利圭のもとへ走った。 利圭のもとへ駆け寄ると、畳の上で丸まって自分の肩を抱く利圭と、殴られ頬を腫らした生徒会長。 そして利圭の首には、――くっきりと歯型が浮かんでいた。

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