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二、分岐点⑯

***  朝の沖沼くんの告白は、すぐに学校中に広まってしまって最悪だった。  部活紹介が体育館で行われたのだが、僕が華道部の紹介に着物を着て現れた瞬間、ざわめきが起こった。  彼に関しては「俺の壮爾さんを気安く見てんじゃねえよ」となぜか強気な様子。彼の一方的な片思いだと噂が流れているらしい。  四月は仮入部で、五月から正式な入部になることの説明と、月末に茶道部との合同お茶会があるので参加希望の人は部室に来てほしいことも伝えた。  その後、五月から保健室勤務になった零時先生の紹介もあったりと慌ただしく部活紹介は終わった。  ……そのまま終わってくれたらよかったのに。  体育館で解散後、華道部には馬鹿がやってきてしまった。 「俺参加しよっと」 「沖沼くんが参加するなら私もするぅ」 「私も私も」  うう。品位が下がる。たださえ制服を着崩し、軽薄そうな服装の沖沼くんが参加するだけでも嫌なのに。  同じく香水べったりな一年女子が大勢やってきた。 「あれ、蹴散らそうか」  練り菓子を食べていた妃芽之くんが、一年の集団を見て可愛い顔でそんなことを言う。 「全員お帰りいただいていい?」 「おっけー」  華道部の部室に残っていたお菓子を平らげた彼は、一目散に集団に向かっていってくれた。なんと頼もしいんだろう。 「香川部長、和菓子の注文どうしよっか」  茶道部でクラスメイトの佐伯くんが、注文書を持って部室に来てくれた。  茶道部も二年生が入部希望者と茶会参加者の対応に追われているらしい。 「五月の和菓子は去年唐衣だったよね。今年は誰かさんのせいで冷やかしが多いだろうし味の分からない彼らに唐衣は勿体ないよね。山吹や唐衣は落ち着いてからでいいし。柏餅でいいんじゃない」  もちろん茶道部が和菓子をいつも注文している和菓子屋は老舗で、ここらでは一番美味しい。柏餅でも絶品なのは間違いない。 「柏餅はいつもあちらが茶道部に贈ってくださるんだよなあ。じゃあ、いっそ参加者を絞ろうよ。着物での参加にして、花の手入れもしてもらうとか」 「ああ、それでいいなら山吹か桜吹雪がいいな。どちらも利圭が好きなんだ」 「りょーかい」

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