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二、分岐点21

 妃芽之くんに連れて行かれたのは、都内にある若者向けのデザイナーズクラシックホテル。高級ホテルが若者向けに建設したお洒落なホテルで、一階がBAR、二階がクラブ、三階からが宿泊できる。  僕たちが向かったのはクラブの奥から入れる地下のパーティー会場。  クラブの奥の扉前には黒服の店員が四名立っていて、近づけない様子だ。 「沖沼だよー。チェックしに来たから入るね」  なのに妃芽之くんは顔パスなのか、挨拶もそこそこに中へ入ってしまった。 「おい、そっちは」  黒服の男一人が、僕を指さすと妃芽之くんは、胸元から札束を取り出して渡してしまった。 「今回は僕も騒ぎたくないからさ、保護対象見つけたらさっさと出ていくし詳細は聞かないでよ」  黒服の男は、頷く。頷くと簡単に扉を開けてくれた。 「本当に大丈夫なの?」 「大丈夫だって。うちの製薬会社がピルやら抑制剤を提供してるし、ここ見つけれるぐらい情報持ってるか金持ってる子しか入れないんだし」  扉の向こうは受付カウンターがぽつんと置いてあるだけ。  そこでオメガは首輪をして、鍵をカウンターに預ける。  清潔な下着を渡され、シャワー後にそれに着替えるらしい。むわっと広がる甘い香りは気分が悪くなりそう。  黒のスケスケのラグジュアリーと首輪。これがオメガだと見ただけで分かるようになっているらしい。αの男性は下着一枚で、αの女の子は水着とか。 「この匂い、やっぱ下半身うずうずしちゃうなあ。僕、見た目がいいからアルファの女の子から可愛がられるし、男もがっついてくるしめっちゃ楽しいんだよね」  シャワー室から顔を出した妃芽之くんはカミソリを持っていて、下着から見える部分を剃っているようだった。 「あの、僕はこんなの着れない」  手に持ったラグジュアリーは、外国人の豊満な胸をしている女性が似合いそうなセクシーなデザイン。  男である僕に似合うとは思えない。 「利圭も本当にこんなの着たの?」  想像できないししたくない。本当に奥にいるとは到底思えなかった。 「うーん。カウンターのいかついお兄さんに、沖沼の番って言うか大金渡せば免除してもらえるよ」 「じゃあ、君だって着なくていいじゃないか!」 「僕は楽しいからいいの」

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