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二、分岐点22

 結局、妃芽之くんが受付の男の人に交渉してくれて、僕はバスローブを羽織ることになった。全身つるつるになった妃芽之くんと一緒にカウンターの奥の階段から地下へ降りると、薄いカーテンで区切られた広場に、爆音で音楽が鳴り響いている。  至る場所にコンドームが入った箱が置かれているし、ローションも置いてある。  薄いカーテンで仕切られた向こうは、ベットだったりソファだったり置いてある。  時折甘い声が聞こえてくるので、その声がする前は足早に通り過ぎていく。 「乱交したい場合はさらに奥なんだけど、そっちはVIP専用なんだよね。本当のご令嬢やご子息くんしかいない」 「利圭は?」 「その専用の部屋に行ってるみたい。僕が他の人たち引き付けるから、壮爾くんが引っ張り出してね」  奥へ進むにつれ甘い香りが強くなり、淡いライトがさらに薄く、相手の輪郭がうっすらと確認できるほどになる。 「宥一郎と征一郎を期待しない方がいいよ。あいつらはここに出入り禁止されてるから」 「……沖沼が提携しているのに?」 「エリートアルファには遊んでほしくないんだって。僕もそこそこ怒られるけど、オメガだから貞操さえ無事ならッて感じ」  エッチ気持ちいいからいいんだけどね、って笑った直後、女性の甘い声が聞こえて足がすくんだ。 「ひゃあっ いっ ィィッ」 「もっと、奥っ」  腰を穿つ音や律動が、爆音の隙を見て聞こえてくるのが怖い。  カーテンの向こうで影が動いているのも、吐き気がする。 「壮爾くんって潔癖すぎじゃん。ここにいる相手なら金持ちか身持ち硬いやつか、運命の相手探してる馬鹿しかいないから、誰かセックスしてみれば? 気持ちいいよ」 「……ここまで厳重なセキュリティ突破してまでエッチしたいんですか。そこまで気持ちがいいんですか」  妃芽之くんや、ヒートを無理やり起こしてまで番にしたかった沖沼くんの気持ちが全く理解できない。 「うん。めちゃくちゃ気持ちがいい。だって体の奥なんて自分で突いたりできないし、みっともなく足を開いて受け入れて、乱れるの気持ちいい。でも」  一番奥の扉の前で、へへっと可愛らしく笑う。 「でも番に、「愛してるよ」って囁かれながらするセックスが世界で一番気持ちいいって気づいちゃったんだよね」

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