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二、分岐点25

***  Side:香川 壮爾  見つけた利圭は、数人の男女と身体を触り合い、クラスメイトの女性に下半身を舐められていた。  ただ瞳が濁って焦点が合っておらず、正気じゃないのが分かった。  急いで助け出そうと手を掴むが、立ち上がってくれない。  伸びてくる手を払いのけても、払いのけても、利圭の身体にまとわりついた。  利圭の首筋は、注射器を打った青あざだらけで、僕にはわからないがアルファを酔わせる甘い香りが漂っているらしい。  追い払っても追い払っても、利圭の身体を求めてくるアルファの手に押し戻された。 「利圭、しっかりして。利圭っ」 「……えええ、壮爾だああ」  へらっと笑った利圭が、僕の唇を舐めた。 「あれえ、俺のチュウ、いや? 良かった。壮爾にファーストキスあげるよ」  呆然としていると、よろよろと起き上がった利圭が僕の唇に触れるだけの優しいキスをした。  酷い精液の匂いだらけで、媚薬代わりの甘いお香が漂う汚れた空気の中。  無邪気に笑いながら、利圭は涙をこぼした。 「……へへ。壮爾なら、やるよ。好きだから」  一瞬、隙を見せてしまった僕の上に、利圭が跨る。 「あー……、オメガ同士なら妊娠しねえじゃん。壮爾、えっちしよ。もうずっと我慢してたんだ」 「利圭っ」  跨った利圭が腰を浮かすと、手を後ろへ伸ばす。  何をしているのか戸惑っていると、水音と共に尻から何かを抜こうとしているのが見えて慌てて腕を掴んだ。 「利圭、はやくここから出るよ。君はここの匂いに充てられてるだけだ」 「でも気持ちいいと何も考えなくていいじゃん。壮爾もえっちしようよ。怖くないからさ」  卑猥な音と共にディルドを抜くと、それだけで達してしまったのか僕のバスローブに白濁した液体が降り注いだ。  でも泣いて笑って、ぐちゃぐちゃの顔の利圭を振り落とすことはできない。 「女の子にちんこ舐められるの、気持ちいい」 「利圭」 「……壮爾ぃ、気持ちがいいのがいい。もう、わかんねえ。死にたい、消えたい、消してよ」  ぽたぽたと落ちてくる涙ごと抱きしめると、驚くほど熱くてそして震えていた。 「僕はずっと利圭の友達だよ。絶対に傍にいるから」 「うん。ごめん、汚いのに、抱きしめてくれてごめん」 「利圭は汚くないって。利圭がいてくれないと僕だって生きれないよ」  汗で濡れた額にキスすると、利圭はぶわっと目尻に涙を浮かばせた。 「壮爾、壮爾、壮爾いいいい」  叫ぶが段々と嗚咽に変わる。  熱もあるし、行方不明だったこの数日間ろくに眠っていなかったのかもしれない。もしかしたらずっとここで、自分を壊そうとしていたのかもしれない。

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