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三、免罪符と運命⑨

 Side:津々村利圭  人の体温が気持ちがいい。気持ちがいいことは身体が楽になるから好きだ。  なのに抑制剤を打ってくるから、打つたびに嘔吐した。  点滴に変えたが、俺が引き抜くので薬になった。薬になると飲ませようとして指を噛むせいでてこずった。 「イけば楽になんだよ。金やるから誰かやらせろよ」  ヒート促進剤を打ち過ぎて、抑制剤を飲むと身体が反発して嘔吐を繰り返していた。  飲みたくないというのに、あの手この手と方法を変えるんだから、腹が立つ。  誰でもいい。薬は嫌だ。 「あー。院長。いるじゃん。金もいらねえ、相手」  点滴を抜きながら、三人がかりで抑えつけていた看護師たちが揃って息を飲む。 「呼べよ、俺の番をよ。番なら、セックスしてもいいんだろ。呼べよ」  犯罪者を呼べ!  見えるものすべて蹴飛ばし叩き落とし、暴れた。  押さえつける男性看護師も何度も床に転がっていた。  もう放っておいてくれよ。  うんざりなんだよ。 「――俺は何をしたらいいんですか」  暴れた結果、俺の一生の奴隷がやってきた。  相変わらず無表情でm真面目でお堅い顔。  何を考えているのか分かんねえよ。でもちょうどいい。  ベットに座ると、俺の様子を伺っている看護師たちを顎でドアに促した。 「俺らがパコるの見てえの?」  さっさと出て行けと合図すると、生徒会長様も「お願いします」と俺の意見に乗ってきた。 「何をしたら、いいですか。かあ。知ってるじゃん。お前、俺が泣いても殴っても、止めなかった炉。あんだけやったら俺の感じる場所ぐらいわかったろ。勉強が得意なんだからさ」  足を開いて、ヒートで収まらずに顔を上げている熱芯を示した。 「セックスはしねえから。薬が抜けるまで、処理しろ。口か手。ほれ、跪け」 「分かった」  アルファ様が、俺に逆らえねえんだ。床に跪いて、俺のちんこ舐めるの、超ウケるんだけど。  口に咥えて、舌で輪郭をなぞりながら上下にゆっくり動く。  ――女の子たちの小さな舌と違って全部飲み込むのが、雑で気持ちいじゃん。  こいつの口、一生俺の便所にしてやる。 「……一生」  くそ。  快楽で頭が真っ白になればいいのに。  涙が止まらねえ。 「見てんじゃねえ。お前は道具なんだから、俺のヒートが収まるまでやめるなよ」

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