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四、すれ違い、見つめ合い⑤
二日ほどお粥と点滴と、トイレ以外はベットから出てはいけないと言われ絶対安静を言い渡された。あとは尻から出血していたりアフターピル飲まされたりして、三日目に零時っていう先生と院長が病室にやってきた。
色々難しい話をしえいたけど、全然頭の中には入ってこなかった。
どれも俺にはどうでもいい話で、自分の事なのに全く他人ごとに思えた。
「つまりさ、二度と番は作れないし、薬の副作用でヒートも来ないだろうし、俺は傷物で汚れちゃったわけだよ。オメガなんて、犯していい道具だって沖沼家の跡取りは思ってるわけだし」
俺の言葉に、零時ッて先生は反論しようとしてたけど、「アルファのお前に何がわかんだよ」と暴言を吐くと黙った。
院長と副院長だけは、俺から視線をそらさなかったので、俺は可愛くピースしてやった。
「月百万。って思ったけど、なんかムカつくから月二百万。あと佐伯さんのバイク屋の借金全部返済して。それで俺はこの事件を訴えないし、沖沼家の跡取りの番だってことは誰にも言わない。あいつが誰と結婚してもかまわない。あ、偶にセックスしてもいいよ。二百万もらえるなら」
院長と副委員長は、俺のその命令に二つ返事で従うと言っていた。
それがとても楽しくて、世界が二回転ぐらい回ったような気がした。
一生、金に困らなくていい。一生働かなくていいなんて、超ラッキーじゃん。
「津々村くん、壮爾くんがお見舞いに来てるらしいけど、どうする?」
「壮爾は俺に聞かなくても無条件でいいってば」
壮爾はどんな命令をしたんだろうか。壮爾は家がちゃんとしてるし金に困っていねえだろうし、もしかしたらちゃんと訴えるのかもしれない。
どちらにせよ、壮爾がそばにいてくれたから、俺は金だけで赦せたのかもしれない。
壮爾が居なければ、俺は生徒会長を殺して、父さんの葬式も参列しなかった自分も消えていたかもしれない。
「津々村くん、明後日だからね」
零時せんせーが、念を押すように言うけど、なんだったけ?
二つ返事で了承した、カウンセラーの予約?
「うん。体調良かったらな」
適当な返事をして追い払うと、リンゴを持ってきた壮爾にピースした。
元気になったよって意味と勝利のポーズ。
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