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五、転がる石には苔が生えぬ⑤

 本当に帰って行ってしまった。  えー……。えええ。まじか。  生徒会長と何日間セックスしてたのか数えてないけど、その前もクラブの地下で何日エロイことしてたっけな。不特定多数にスマタとフェラはしてもらったけど、そんなんで性病なるか?  えー。他のちんこをじっくり見たことがないからわかんねえ。生徒会長のちんこどんなだっけ。俺と何が違ったっけ。うーん。 「津々村くん、しばらく零時先生が休みなので――」 「うわっ」  看護師がノックもせずに入ってきたせいで、ベットから落ちそうになってしまった。 「ごめんねえ。明日から先生がしばらく休みなのよ。あともう少しでご飯よ」  ここの看護師長らしいおばあさんは、誤ったくせに全く悪びれがない。貫禄があるし言葉で勝てなさそうな迫力だ。 「何か困ったことはない? 変わったこととか体調とか」 「ねえっす」  一日三回の検温をチェックしつつ、俺の顔色と脈拍だけ計って出ていった。  誰にちんこ見せればいいんだよ。このままではデリヘル呼べないじゃんか。  携帯の登録している名前をスライドしつつ、俺は答えの出ない迷宮に飲み込まれていった。  ***  Side:香川壮爾  放課後、部室に顔を出し靴箱へ向かうと、準備体操をしている沖沼くんが僕を待っていた。 「ちょっと待ってて。5分でいいから、ひとっ走り家に帰ってくるから」 「……デートするとは言っていません」 「店員全員オメガだし、紫野っていうばあさんが茶出してくれるから」 「行きません」 「5分で帰ってこなかったら、帰っていいから。ほんと待ってて。渡したいもんがあるから」  帰りたい。関わりたくない。強引なのは大嫌い。  そう思うのに、必死な匂いが伝わってきて複雑だ。いますぐ否定したいのに、どうしても番の性が邪魔をしてしまう。 「待ってろよ!」  クラウチングスタートで走って行ってしまった。今から家まで戻って何かを持って戻ってくるというのか。  ……3分で帰ってやる。 「はあ」  靴箱にもたれて大きなため息が漏れたのと、利圭から連絡が来たのは同時だった。

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