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六、運命交差 ⑦

 丁度、バイク屋の前を有名私立小学校の制服を着た子どもが数人歩いていた。  携帯や電子辞書、ゲーム機を持っておしゃべりししながら歩いている。 「征一郎はよ、ゲーム機もおしゃべりにも興味なさそうだったのに、バイクを見る目は輝いていたな」  今更。  いや、そんな情報知らなくてもよかった。  利圭にはもっと知ってほしくないような、伝えた方が良いのか。 「いつの間にか、バイクじゃなくて利圭を見ていたってわけか。なのにあいつは不器用だからなあ、ったく」  不器用で片づけていい事件じゃない。が、ベータの佐伯さんには本能で抗えない僕たちの運命はきっとよく理解できないに違いない。 「なあ、おっさん、スイカは? アイスは?」  利圭は僕たちの話を知らず、呑気にジュースを開けながら近づいてくる。 「お前はまずは肉だ。そのお腹が二段に膨れ上がるまでは肉を食ってもらうぞ」 「えー、病院の飯くそ不味かったし、脂っこい安い肉とか久しぶりだしお腹壊しそう」 「お前なあ!」  ガシガシと頭を撫でられ、利圭はうざいと言いつつも少し嬉しそうだった。  お店の方からも交代で何人か社員がバーベキューを食べに来ている。  隣に来ても、話しかけられてもやはり何も感じることはない。  良くも悪くも、僕は彼以外には反応しなくなっている。 「そういえばさ、壮爾」  利圭が大きな肉の塊を佐伯さんから奪いこちらに向かってくるので、箸を止めた。  すると僕の顔を見て利圭が言葉を飲み込む。  この様子……。先日みたいな性病の話の類みたいに言いにくい内容なのかな。 「何? ちゃんと言ってくれないと後でまた大騒ぎになるよ」 「うー。分かってんだけどよお。あのさあ」 「うん」  肉を齧って飲み込み、また齧って飲み込み、僕はひたすら利圭の食べている横顔を見ていたと思う。  自分の紙皿の上で干からびそうになっている肉を、タレにもう一度付けてみる。 「……親父の墓を」  言いながら利圭の目に涙が浮かんだ。 「墓に、行きたくないけど」  行かなきゃいけない。  聞こえるか聞こえないかのささやかな声でそう言った。

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